半盲と半側空間無視の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 05:36 UTC 版)
脳卒中などの後天的な脳の障害によって、左右どちらか半分だけの認識が上手くゆかない半側空間無視という状態を生ずることがある。半側空間無視があると、あたかも片目が見えていないようにも感じられるかもしれない。しかしながら、半側空間無視と、片目だけが失明した状態である半盲とは、全く違った状態である。半盲は、あくまで片目の視力が失われているだけであって、視力のある方の目を使えば左右どちら側も見て認識することが可能である。半盲であっても、半側空間無視が無ければ、たとえ視力の無い目でないと見えないような場所であっても、例えば、その場所が首を動かして視力のある側の目の視野に入るようにすることによって、その場所を見て、そして脳はその場所にある物を認識することができる。これに対して半側空間無視の場合は、仮に両目の視力や視野に一切の問題がなくとも、左右どちらかの認識が難しいのである。半側空間無視がある患者の場合、無視のある側も見えているはずなのだが、脳が上手く認識できないのである。なお、認知症などが無く、自身に半側空間無視があることを患者が充分に理解できた場合、半側空間無視が改善するといったことも起こり得る。当然ながら、半盲の場合は、たとえ患者の知能がどれだけ高くとも、失明した側の目で物を見て認識することは不可能である。
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