劣後的な位置付けをする見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/22 02:14 UTC 版)
「間接強制」の記事における「劣後的な位置付けをする見解」の解説
我妻栄に代表される伝統的な通説的見解は、間接強制は、直接強制や代替執行ができない場合に認められる強制執行の方法であると考えていた。直接強制は、債務者の意思にかかわらず強制的に債権の内容を実現する方法であり、代替執行は、債権者又は第三者に授権させた上で債務を履行し、それに要した費用を債務者から徴収する方法であり、いずれも債務者の意思とは無関係に債務を実現させる方法である。これに対し間接強制は、債務者の意思を圧迫する方法により債務を実現させる方法である。このため、債務者の人格尊重の観点から、直接強制や代替執行ができない場合にのみ間接強制が許されると理解していた。 この見解によると、物の引渡義務や、建物収去義務などの代替的作為義務については、前者は直接強制、後者は代替執行の方法によることが可能であるため、間接強制の方法によることは許されないこととなる。間接強制の方法による強制執行が許される類型は以下のとおりとなる。 不代替的作為義務 作為を内容とする義務のうち、履行を債務者本人にさせる必要があり、第三者が債務者に代わってすることが法律上又は事実上不可能であるもの、又は債務者自身が行う場合と同様の効果を生ずることが不可能な義務。例えば、芸能人の出演義務のように債務の履行が債務者本人の特別の地位や技能等に依存する場合、代理人の選任義務のように債務の内容が本人の裁量に委ねられざるを得ない場合、証券への署名義務など法令上本人が行うことが要求されている場合などが該当する。 不作為義務 債務者が一定の内容の行為をしないこと(不作為)を内容とする義務。競業避止義務、通行を妨害しない義務、一定以上の騒音を発しない義務などが該当する。
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