加圧式ボールペン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 03:05 UTC 版)
通常のボールペンは重力を利用してインクを送り出すため、先端を上に向けた状態では筆記できない。水平より上向きで字を書くとだんだんインクが出なくなり、さらにインクタンク内に空気が入り込むと気泡ができてしまう。インク残量があっても、ボールとそれを支えるホルダーの間に空気が入ってしまうことのほか、紙の繊維などが詰まったり、ペン先が傷ついてボールが回らなくなったり、インクが経年劣化したりしても書けなくなる。 微小重力の宇宙船内などでは、インクを窒素ガスで強制的に送り出す、俗に宇宙ペン(スペースペン)と呼ばれる特殊なボールペンが使われている。ただし、宇宙ではボールペンが全く使えなくなるということはなく、「アメリカ航空宇宙局(NASA)はわざわざ手間暇と大金をかけてスペースペンを開発した。一方、ソ連は鉛筆を使った」というジョークがあるが、鉛筆の芯は静電気を帯びやすい黒鉛を含み、破片や粉塵が機器類に悪影響を与えるおそれがあるため、ソ連の継承国であるロシアも鉛筆をボールペンに置き換えている。 21世紀に入り、日本の文具メーカーによりガス封入ではなくノックすることで軸の内部で圧縮空気を作りインクを送り出す加圧式ボールペンが開発され、各社より販売されている。加圧されているので先端の向きに関わらず書ける他、ペン先から水の入り込む隙間がないため、濡れた紙や氷点下の環境でも書けるのが特徴である。
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