分子論的解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 10:08 UTC 版)
「ファンデルワールスの状態方程式」の記事における「分子論的解釈」の解説
統計力学において、理想気体は運動エネルギーのみを持つの点粒子の系として再現される。言い換えれば、気体を構成する分子に体積がなく、分子間の相互作用がない系として扱われる。しかし、現実の気体の分子には体積があり、分子間相互作用も存在する。 分子を点粒子ではなく古典的な剛体球と考えると、同じ空間を複数の分子が占有することができない。これは体積排除効果と呼ばれる。係数 b は排除体積効果に由来するパラメータである。圧力が無限大の極限 p→∞ でモル体積が Vm→b となり、どんなに高い圧力をかけても分子の体積より小さくはならないことを表現している。 一方、係数 a は分子間引力(ファンデルワールス力)の効果を表現している。分子が互いに引き合うために、気体が容器を押す圧力は小さくなる。一つの分子による引力の効果は隣接する分子の数に比例し、それが分子ごとにあるので、全体としては体積当たりの分子数(密度)の二乗に比例すると考えることができる。 気体分子間の平均的な間隔が大きいほど、排除体積の影響も相互作用の影響も小さくなるため、低密度の極限では実在気体は理想気体のように振る舞う。理想気体の状態方程式は高温あるいは10atm以下の低圧ではかなり有効である。その傾向は気体の種類によっても異なり、同一気体については低温、高圧であるほどそのずれが大きくなる。
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