冬眠しない時期の心筋細胞の活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/19 05:22 UTC 版)
「冬眠」の記事における「冬眠しない時期の心筋細胞の活動」の解説
カルシウムイオンは細胞外には高濃度で存在する。心筋が収縮するときはカルシウムイオンチャネルが開いてカルシウムイオンが細胞内に流入し心筋細胞内の収縮繊維に働きかけて筋肉を収縮させる。カルシウムイオンチャネルは直ちに閉じてイオンが過剰に流入しないようにしている。筋肉が収縮した後、ATPアーゼが働いて心筋細胞内に多く取り込まれたカルシウムイオンが細胞外に排出され、筋肉が弛緩する。また心筋細胞内の筋小胞体という組織はカルシウムイオンを吸収・貯蔵・排出する機能を有しており、カルシウムチャネルやATPアーゼの働きと協同して細胞内のカルシウムイオン濃度の制御を行っている。この過程は冬眠しない哺乳動物と非冬眠時のシマリスと同じように働く。 体温が下がると以上述べたイオンチャネルの開閉速度は遅くなり、ATPアーゼの働きは低下する。すなわち冬眠しない動物の体温が低下すると、一旦開いたカルシウムイオンチャネルが閉じる速度が遅くなり、心筋細胞内に通常より多くのカルシウムイオンが流れ込む。さらにカルシウムイオンを排出するATPアーゼの働きも低下しているので細胞内の過剰なカルシウムイオン排出が困難になる。細胞内に溜まったカルシウムイオンによって心筋は収縮したまま停止し、細胞内のミトコンドリアに蓄積されこれを破壊する。これが非冬眠動物が低体温になったときに直面する状況である。
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