円空仏の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 05:18 UTC 版)
円空仏はデザインが簡素化されており、ゴツゴツとした野性味に溢れながらも不可思議な微笑をたたえていることが特徴で、一刀彫という独特の彫りが円空仏の個性を引き立てている。一刀彫というのは鉈一本で彫り出した事に由来するが、実際には多数の彫刻刀によって丹念に彫られており、鉈で荒削りで彫ったに過ぎないというのはただの宣伝である。円空としては民衆が気軽に拝める、現代で言えば量産型の仏像として製作し、野に置かれる事を望んでいたのだが、そのデザインが芸術的に高く評価されたため、大寺院で秘仏扱いされる事もあった。 円空仏の総数は2015年時点での集成で現存数が5,298体、うち移入数が164体、所在不明・消失・盗難などの像が88体で、5,298+88で確認数は5,386体。分布は愛知県の3,241体が最多で、岐阜県の1,684体、埼玉県の175体、北海道の51体と続く。 円空仏には愛知県名古屋市の荒子観音堂に伝来する「観音三十三応現身」や同寺の「千面菩薩」など、不揃いな板切れに尊像の目・鼻・口をつけた小像が存在し、これらは「木端仏(こっぱぶつ)」と呼ばれる。また、荒子観音堂に伝来する菩薩立像は藤原朝の像に円空が顔面と手を補修した補修仏として知られる。 三重県三重郡菰野町の明福寺に伝来する薬師如来・阿弥陀如来像は一材に両像が彫られた珍しい像で、「両面仏」と呼ばれる。
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