先天性ビオチン欠乏症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 08:53 UTC 版)
先天性の原因には、ビオチニダーゼ欠損症とホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症、ビオチントランスポーター欠損症(ビオチン輸送担体欠損症)がある。いずれも遺伝子疾患でビオチンの補給を継続すれば良好な経過をたどる。札幌市では、けいれんや意識障害を起こした新生児に検査を行っている。 ビオチニダーゼ欠損症では、ビオチニダーゼの作用が利用できず、による食品からのビオチンを遊離させ吸収できるようにしたり、タンパク質と結合したビオチンを遊離させて再利用できない。ビオチニダーゼ欠損症では、乳児期にけいれんや筋緊張の低下で気づかれる。難聴が起こることがある。日に5mg-10mgを補給するが、多くの症例ではより少なくて済む。 ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では、ビオチンをアポカルボキシラーゼに結合させ、ホロカルボキシラーゼとする酵素であり、生後に重篤なアシドーシスの症状を呈して明らかとなる。重症となりやすく尿への有機酸の排泄が特徴的で、皮膚炎もある。これまでの全症例でビオチン大量投与が有効で、研究からホロカルボキシラーゼ合成酵素の活性が約100分の1と推定され、大量投与することで活性上昇できると考えられている。変異酵素の型によって、毎日10mg、あるいは40mg投与される。多くて100mg。 ビオチン輸送担体欠損症でも多量にビオチンを補給する。
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