信仰圏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 10:02 UTC 版)
山岳信仰全般を通して信仰対象である山岳を中心とした同心円的な信仰圏を摘出し、そこから信仰の展開過程を把握しようとする「信仰圏理論」があるが、これによると山麓周辺の第1次信仰圏、その外部に展開される第2次信仰圏、更にその外部に拡大された第3次信仰圏と、信仰と信者の範囲は次第に展開していくものであるとされる。この理論を加波山信仰に適用すると、前節の如く作神・殖産神的信仰を主に除災神的信仰も併せ持つ山麓一帯の第1次信仰圏と、除災神信仰が濃厚であるとともに加波山を修験の霊場と捉える第2次信仰圏とに分ける事が可能となり、この信仰圏の地域差を時間差に置き換えた場合、当初は山麓一帯で作神信仰として発生したが、加波山が雷雨を起こすものでもあった事から雷雨を制御する雷雨神としても観念されるようになり、それとともに加波山を修験の霊場として開いた修験者が民衆の現世利益指向を満足させるべく加持祈祷等を行う事で、雷雨や嵐、更には疫病等を除く除災神的性格が強調され、第2次信仰圏へと信仰が広まったものであろう事が推測可能となる。
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