伝承による起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 15:51 UTC 版)
キプチャク族に関する伝承として、オグズ汗のとき、妊娠中の女性が巨樹の穴に入って産んだ子がキプチャク族の始祖になったという挿話が伝えられる。これは女性が樹霊の庇護のもとに安産したという意味にもとれようが、むしろそれは変形した伝承の形であり、もともとは巫女が樹霊をうけて妊娠し、その子を産んだというのであったかもしれない。これはウイグル、ナイマンなどのテュルク系の諸族に共通する樹霊伝承としてよく語られる。 オグズがイト・バラク部族と戦い、敗北を喫した時、彼は二つの川の流れによって形成された島にとどまり、そこに住み着いた。この時、戦で夫に死なれたある妊婦が大きな木のうろに入って赤ん坊を産んだ。この一件をオグズに語る者があった。彼は彼女を哀れんで「この夫人には夫がないから、この赤子は私の息子にしよう」と言った。その子はオグズの子になった。後に彼はキプチャクと名付けられた。この語はテュルク語で「芯が腐っている木」を意味する「カブク」から作られた。すべてのキプチャクはこの男子から出ている。17年経ってオグズはイト・バラク部族を討ち、イランの地へ来てその地方を降した。長い年月が経過した後に彼は自分の地方へ帰った。 — ラシードゥッディーン『集史』部族篇
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