人材推挙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:01 UTC 版)
また、淳于髠は人材推挙も行った。このことに関して戦国策にある記述がある。淳于髠は一日に七人もの人物を宣王にお目通りさせるので、不快に思った宣王は、淳于髠にむかい、 「先生よ、もっとこちらに寄りなさい。そして私の話を聴きなさい。私が聞くところによれば、『士』とよばれる立派な人物は、千里四方を捜してもたった一人やっといるほどなのに、肩を並べて立っているほど多過ぎるし、『聖人』という完璧な人物は、百代にたった一人やっといるほどなのに、踵を接してやって来るほど多過ぎる、という。今、先生は一日に七人もの人材をお目通りさせているが、人材とはそんなに多くいるものなのかな?」 と言った。すると、淳于髠は、 「いや、そうではございません。鳥は翼の形の同じものが集まって群れを成しますし、獣は足の形の同じものが集まって行動します。もしも、柴胡や桔梗といった山の薬草を湿原に求めても、何代にもわたって探したところでただの一本も手に入らないでしょうが、梁父やこうしょのような山の北側を捜せば、多くの車に積み込むほどに手に入るでしょう。このように、物にはそれぞれ類があるのです。その中では、私は賢者の類です。王さまが、人材を私にお求めになるならば、それは、水を黄河から汲み取り、火をひうちから取り出すようなものです。私はこれからも人材をたくさん推挙するつもりです。なぜ七人だけに限りましょうか。」 と言ったため、宣王は何も言えなかった。
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