交代テンソル代数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 03:10 UTC 版)
K を標数 0 の体とするとき、ベクトル空間 V の外積代数はテンソル空間 T(V) の交代テンソル全体の成す部分空間と自然に同一視される。外積代数が T(V) の x ⊗ x で生成されるイデアルによる商多元環として定義されたことを思い出そう。 Tr(V) を次数 r の斉次テンソル全体の成すベクトル空間とすれば、Tr(V) は分解可能テンソル v 1 ⊗ ⋯ ⊗ v r , ( v i ∈ V ) {\displaystyle v_{1}\otimes \cdots \otimes v_{r},\quad (v_{i}\in V)} で生成される。分解可能テンソルの交代化作用素 (antisymmetrization) あるいは歪対称化作用素 (skew-symmetrization) は Alt ( v 1 ⊗ ⋯ ⊗ v r ) = 1 r ! ∑ σ ∈ S r sgn ( σ ) v σ ( 1 ) ⊗ ⋯ ⊗ v σ ( r ) {\displaystyle \operatorname {Alt} (v_{1}\otimes \cdots \otimes v_{r})={\frac {1}{r!}}\sum _{\sigma \in {\mathfrak {S}}_{r}}\operatorname {sgn}(\sigma )v_{\sigma (1)}\otimes \cdots \otimes v_{\sigma (r)}} で与えられる。ここに和は文字 {1, …, r} の置換全体の成す対称群を亘る。これを線型性と斉次性を使ってテンソル空間 T(V) 全体まで拡張したものも同じく "Alt" で表す。Alt の像 Alt(T(V)) を交代テンソル代数 (alternating tensor algebra) と呼び、A(V) で表す。これは T(V) の部分線型空間で、T(V) から次数付きベクトル空間の構造が遺伝する。これにより結合的な次数付き乗法が t ⊗ ^ s = Alt ( t ⊗ s ) {\displaystyle t\operatorname {\widehat {\otimes }} s=\operatorname {Alt} (t\otimes s)} によって誘導される。しかしこれはテンソル積とは異なる乗法であって、Alt の核がちょうど両側イデアル I に一致して(K は標数 0 だと仮定している)、自然な同型 A ( V ) ≅ ⋀ ( V ) {\displaystyle \textstyle A(V)\cong \bigwedge (V)} が存在する。
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