中止犯の法的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/22 19:05 UTC 版)
中止未遂を障害未遂よりも寛大に扱う理由について刑事政策説と法律説の対立がある。 刑事政策説は、任意に犯罪の遂行を中止した者に対して刑の必要的減免という褒章を与える「後戻りのための黄金の橋」(リスト)によって犯罪の完成を防止しようとする刑事政策的規定であると理解する。ドイツおよび日本におけるかつての支配的見解であるが、免除(日本法では減軽または免除)という特典を知らない者に対しては一般予防(目的刑論の「一般予防論」を参照)の効果が期待できないという批判を克服することができず、現在では少数説に止まっている。 法律説は、いったん発生させた具体的危険を自らの行為で除去することにより違法性または責任非難が減少することが減免の根拠であると理解する。法律説の内部でも違法(性)減少説と責任減少説の対立がある。違法(性)減少説に対しては、いったん発生した法益侵害結果(未遂犯として処罰される)が事後の行為により減少(さらに進んで消滅)するという構成は困難であるという批判があり、責任減少説が有力である。責任減少説は中止犯の効果の一身専属性および免除の効果を説明できる点で優れているが、責任減少説内部で「自己の意思により」の理解について対立があるため、項を改めて詳述する。
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