中標津町牛乳消費拡大応援条例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/21 10:17 UTC 版)
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中標津町牛乳消費拡大応援条例 | |
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![]() 中標津町の条例 | |
正式名称 | 中標津町牛乳消費拡大応援条例 |
通称・略称 | 牛乳で乾杯条例 |
法令番号 | 平成26年3月20日条例第13号 |
種類 | 地方自治法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2014年(平成26年)3月20日 |
施行 | 2014年(平成26年)4月1日 |
主な内容 | 牛乳の推奨 |
条文リンク | 中標津町例規集 |
中標津町牛乳消費拡大応援条例(なかしべつちょうぎゅうにゅうしょうひかくだいおうえんじょうれい、平成26年中標津町条例第13号)は、牛乳の消費拡大を目的とする北海道中標津町の条例である[1]。通称は牛乳で乾杯条例(ぎゅうにゅうでかんぱいじょうれい)[2][1]。
概要
中標津町は、人口よりも飼育されている乳牛の頭数のほうが多く[注釈 1]、酪農業が基幹産業であり、牛乳の産地としても知られる[1][3][4]。
条例にもとづいて、町内で行われる各種行事で乾杯が行われる際には1杯めには牛乳を用いて乾杯することが推奨されており[3]、中標津町内の居酒屋などでも乾杯用の牛乳がメニューに掲載されている[4]。
中標津町の牛乳は味や乳質においても日本トップクラスであるが、あまり知られていなかったため、生活習慣として身近な「乾杯」の機会に「1杯目の乾杯は地場産牛乳で」を合言葉として、牛乳飲用を広く町民の日常生活に浸透させるためのアピールを行うことを目的とした条例として、2014年(平成26年)4月1日より施行された[1]。
条文
「町民は、町内で行われる飲食物が提供される会食等において乾杯が行われる場合、可能な範囲において牛乳で乾杯し、その普及促進に協力するよう努めるものとする。」 |
—「いろんな条例をどう考える?」『こども六法の使い方』弘文堂。ISBN 978-4335552052。[2] |
池上彰は、この条文では「可能な範囲において」と書かれていることから押しつけがましい感じがしないため、条例に反発する人がすくないのではないかと推測している[2]。同様の努力目標であり罰則もない条例として青森県鶴田町の「朝ごはん条例」を挙げている[2]。
対称的に議論を呼んだ条例として香川県ネット・ゲーム依存症対策条例を挙げている[2]。
成果
この条例は日本初であり、施行されたことでメディアへの取り上げも多く、中標津町の知名度向上に役立ったとされている[1]。
宴会のみでなく、町内で開催される「なかしべつ夏祭り」、「じゃがいも伯爵まつり[注釈 2]」、「まちなか賑わい秋の陣[注釈 3]」でも「牛乳で乾杯」が行われるようになり、町内外に広く知られるようになっている[1]。
栃木県那須塩原市[注釈 4]、同県那須町[注釈 5]でも中標津同様に牛乳による地域活性化の推進、牛乳消費拡大を応援する条例が制定された[7]。
なお、地酒や地元特産のビール、ワイン、ウイスキーなどでの乾杯することをうながす条例は、「牛乳で乾杯」条例よりも多く、日本各地にみられる[7]。
歴史
もともと、中標津町のある北海道東部は酪農が盛んであり、選挙の事務所開きなどでの際に牛乳で乾杯するのが定番でもあった[8][9]。中標津町に隣接する別海町も酪農業が盛んであり、結婚式などで牛乳の乾杯が行われている[9]。
2013年に京都市で制定された「京都市清酒の普及の促進に関する条例」(通称「清酒で乾杯条例」)を知った中標津町の担当者が、上述のようにもともと牛乳で乾杯する風習があったことを取り入れて発案した[9]。
2014年3月13日の北海道中標津町議会において「牛乳消費拡大応援条例」が可決、成立し、同年4月1日より施行された[8]。地酒などでの乾杯条例制定は先例があったが、牛乳での乾杯条例は日本初となる[8]。施行に合わせて、牛乳豆腐といった牛乳を使った郷土料理の習得の呼びかけも行われている[8]。
2024年には施行10周年を記念し、「牛乳で乾杯」しているところを撮影した写真をSNSに投稿してもらうコンテスト「牛乳で乾杯! ミルクフォトでなかしべつを全国に発信しよう!」を日本全国対象に公募している[1][10]。
他自治体
- 那須塩原市[11][12]
- 2015年4月施行の「那須塩原市牛乳等による地域活性化推進条例」も通称は「牛乳で乾杯条例」となっている。
- 9月2日を「那須塩原市牛乳の日」と定め、イベントを開催し、牛乳で乾杯の画像をSNSで公開するなどの普及促進活動も行っている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j “「牛乳で乾杯条例」10周年! 消費拡大を目指す北海道中標津町のふるさと納税寄附金の使い道とは?”. マイナビニュース (2024年11月26日). 2024年12月22日閲覧。
- ^ a b c d e 「いろんな条例をどう考える?」『こども六法の使い方』弘文堂。ISBN 978-4335552052。
- ^ a b 『ことりっぷ知床・阿寒』昭文社、2023年、71頁。ISBN 978-4398155986。
- ^ a b 『W32 日本のグルメ図鑑 47都道府県の名物料理を旅の雑学とともに解説』2024年、26頁。ISBN 978-4059218364。
- ^ “「那須塩原市牛乳等による地域活性化推進条例」に基づく平成29年度辞令交付式での牛乳乾杯の実施”. 那須塩原市 (2021年11月30日). 2024年12月22日閲覧。
- ^ 「牛乳消費増へ応援条例 那須町議会が可決 県内2例目 /栃木」『毎日新聞』2022年2月25日。2024年12月22日閲覧。
- ^ a b “「1日1回笑う」「写真を撮る時はカニのポーズ」「大声で川口が大好きだと叫ぶ」…こんなにある全国の「ご当地条例」”. 弁護士ドットコム (2024年8月17日). 2024年12月22日閲覧。
- ^ a b c d 「「宴会、牛乳で乾杯を」 北海道・中標津町が条date=2014-03-13」『日本経済新聞』。2024年12月22日閲覧。
- ^ a b c 地主恵亮 (2016年8月5日). “牛乳で乾杯が条例になっている街に行く”. デイリーポータルZ. 2024年12月22日閲覧。
- ^ “中標津町「牛乳乾杯条例」制定から10年でフォトコンテスト”. NHK (2024年6月13日). 2024年12月22日閲覧。
- ^ “ミルクタウン戦略” (PDF). 那須塩原市 (2003年3月). 2025年1月1日閲覧。
- ^ 「まちづくりの柱は“牛乳” 「製品開発・生産者育成・消費拡大」 栃木県那須塩原市」『日本農業新聞』2024年5月12日。2025年1月1日閲覧。
関連項目
- 日本国憲法第92条 - 地方自治体が設置する条例の根拠
外部リンク
- 中標津町牛乳消費拡大応援条例(通称『牛乳で乾杯条例』) - 中標津町公式サイト
- 中標津町牛乳消費拡大応援条例のページへのリンク