一般化固有ベクトル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「一般化固有ベクトル」の解説
ディラックがデルタ関数を量子力学に導入したそもそもの動機は、デルタ関数を位置作用素に対する「固有ベクトル」とみなすというものであった。すなわち、第j方向の位置作用素 M x j ( ψ ) = x j ψ ( x ) {\displaystyle M_{x_{j}}(\psi )=x_{j}\psi (x)} に形式的に δ a ( x ) = δ ( x − a ) {\displaystyle \delta _{a}(x)=\delta (x-a)} を代入すると、この関数はa以外で0になる事から、 M x j ( δ a ) = x j δ ( x − a ) = a j δ ( x − a ) {\displaystyle M_{x_{j}}(\delta _{a})=x_{j}\delta (x-a)=a_{j}\delta (x-a)} であり、したがってδaは M x j {\displaystyle M_{x_{j}}} の「固有値」ajに対応する「固有ベクトル」であるとみなせるのである。数学的に見た場合、ヒルベルト空間 H = L 2 ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {H}}=L^{2}(\mathbf {R} ^{d})} において自己共役作用素 M x j {\displaystyle M_{x_{j}}} はそもそも固有値を持たないし、当然それに対応する固有ベクトルも存在しない。しかしこれはそもそもデルタ関数が H = L 2 ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {H}}=L^{2}(\mathbf {R} ^{d})} に属さない事に起因しており、ゲルファントの三つ組の概念を用いれば、こうしたデルタ関数による固有値・固有ベクトルの概念を正当化できる。本節ではまず、固有値概念の一般化であるスペクトルの概念を定式化し、ゲルファントの三つ組においてスペクトルに対応する固有ベクトル概念に相当する一般化固有ベクトルの概念を定式化する。
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