ヴォルスング一族の殺害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 02:01 UTC 版)
「シグムンド」の記事における「ヴォルスング一族の殺害」の解説
権勢を誇るガウトランドの王シゲイル(en) はシグニューに求婚した。ヴォルスングは歓迎したが彼女本人と彼女の兄弟たちはこの話には乗り気ではなかった。しかし万事についてそうであるように、決定は父王に委ねられシゲイルとシグニューは婚約した。 結婚式はヴォルスングのところで行われた。すると祝賀の宴にオーディンが現れ、広間の中心にあるリンゴの大樹バルンストック(「子供の幹」の意)に一本の剣を柄元まで刺し、抜いた者に褒美として与えると言って立ち去った。その場に居合わせた勇士たちは剣を抜けた者がこの場にいる全ての中で一番優れていると考え、次々に試みたが誰も引き抜けなかった。しかしシグムンドはたやすくこれを引き抜き剣を自分のものにした。 剣の素晴らしさを目の当たりにしたシゲイルは剣の重さの3倍の黄金で譲るように頼んだが、彼にはこの剣はふさわしくないとシグムンドは一蹴し、腹を立てたシゲイルは翌日宴の席を辞して帰国する。シゲイルは帰り際に滞在の短さの非礼の埋め合わせに3か月後自国への招待を受けて欲しいと申し出て、ヴォルスングは承諾するが、これにはシグムンドから受けた侮辱への報復の意図があった。ガウトランドに到着した船上にいる父にシグニューは罠であると警告し帰国を促すが、ヴォルスングは潔しとせず船を降りてシゲイルの軍勢と戦った。この戦いでヴォルスングと供の者は戦死し、10人の王子は捕らえられ処刑されることになった。 シグニューはシゲイルに、彼らをすぐ殺さずに手かせと足かせを嵌めてくれと懇願した。この願いは聞き入れられたがシゲイルは彼らを森の中に放置した。夜になるとメスのオオカミが彼らの元へやってきて一晩に1人ずつ食い殺し、最後にシグムンドだけが残った。シグニューは人をやってシグムンドの顔に蜂蜜を塗らせた。オオカミは彼を殺す前に蜂蜜を舐め、シグムンドは彼女の舌が口に入ったときにこれを噛み切って殺した。シグニューはシグムンドが生きているのを確認すると地下室を作って彼を匿った。 彼女はシゲイルとの間に産まれた2人の息子が自分の一族の復讐を果たせるか試みるが、彼らに見込みが無いと分かるとシグムンドに殺させた。その後シグニューは魔法使いの女と姿を取り替えて兄のシグムンドを尋ね、床を共にしてシンフィヨトリを産んだ。
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