ヴェルナー理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/25 06:11 UTC 版)
「リチャード・ヴェルナー」の記事における「ヴェルナー理論」の解説
主流経済学においては貨幣数量説に基づき、ケンブリッジ現金残高方程式により、 M=kpY 貨幣量=マーシャルのk×物価×実質GDP 上記公式をフィッシャー交換方程式に変形すると、 MV=PT 貨幣量×流通速度=物価×取引量 上記の公式で通貨供給量とGDPの関係式にする。主流経済学では貨幣数量説により貨幣を増加させれば物価が上がるとされ、流通速度は基本的に一定と考えられるから、中央銀行が通貨供給量を拡大すればデフレ脱却するとしてきた。 MV=PY 通貨供給量×通貨供給量の流通速度=生産量×商品価格 しかし日銀がデフレは貨幣現象であるとして量的緩和政策を行わせたにも関わらず政策が効いていない。実体経済はGDPや物価が変動する市場である一方、金融経済は物価に反映されない非GDP取引であり、GDP取引と非GDP取引に分けて考えるべきである。主流経済学は交換方程式を通貨供給量で計算しているため実体経済向けと金融経済向けに分割することができないため、実体経済向けと金融経済向けを分割した公式化モデルを構築していなかったので、通貨供給量が増加しても物価上昇しない理由について説明できなかった。通貨供給量ではなく信用創造量を設定することで、実体経済向けと金融経済向けに分割できる。 金融経済向け信用創造×金融経済向け信用創造の流通速度=金融経済の商品量×金融経済の商品価格 実体経済向け信用創造×実体経済向け信用創造の流通速度=実体経済の生産量×実体経済の商品価格 非GDP取引が拡大すると、通貨供給量が増えても名目GDP取引に反映されないので貨幣の流通速度は低下する。GDP取引に反映しない金融経済向け信用創造を省き、実体経済向け信用創造に限定すると、実体経済向け流通速度は一定である。 一定であるから実体経済向け信用創造量を増加させればよい事になる。 CrVr=PY 日銀は大規模量的緩和でマネタリーベースを拡大し日銀当座預金を積み上げたが、実体経済向けの信用創造が拡大せず、デフレ脱却できなかった。
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