ロタウイルスNSP3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 13:54 UTC 版)
「ポリ(A)結合タンパク質」の記事における「ロタウイルスNSP3」の解説
ロタウイルスのRNA結合タンパク質NSP3(英語版)はeIF4GI(英語版)と相互作用し、PABPをeIF4Fから除去する。NSP3はeIF4GI上でPABPに置き換わることで、宿主のタンパク質合成の遮断を担う。ロタウイルスのmRNAは3'末端にGACCモチーフが存在し、NSP3によって認識される。 ロタウイルスの感染が起こると、末端がGACCのウイルスmRNAが翻訳される一方、末端がポリ(A)の宿主mRNAの翻訳は大きく低下する。感染細胞では大幅なGACC mRNAの翻訳誘導とポリ(A) mRNAの翻訳低下がみられるが、その程度はどちらもロタウイルスの株に依存している。このことからNSP3はPABP-ポリ(A)複合体の代替として機能しており、宿主のmRNAの翻訳阻害はNSP3自身の作用ではなくウイルスmRNAとの競合の結果生じているものであることが示唆される。 NSP3によってeIF4Gから除去されたPABPC1(英語版)は、ロタウイルス感染細胞の核に蓄積する。この除去過程には、ロタウイルスのNSP3、eIF4G、RoXaN(英語版)が必要である。eIF4Gとの相互作用を損なうことなくNSP3-RoXaN複合体の形成を阻害するNSP3変異体の解析によって、PABP-C1の核局在にはNSP3とeIF4Gの相互作用、さらにNSP3とRoXaNのLDドメインと呼ばれるロイシンとアスパラギン酸に富む領域との相互作用が必要であることが示されている。RoXaNは、PABPC1の核-細胞質局在に関与する宿主由来のNSP3の結合パートナーとして同定された因子である。
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