ロキとシギュンの子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 06:15 UTC 版)
ナルヴィは悪神ロキと、妻のシギュンとの間の息子とされている。土星の第31衛星ナルビのエポニムである。 『古エッダ』と『スノッリのエッダ』では彼の扱いが異なっている。 『古エッダ』の『ロキの口論』において、息子ナリの腸でロキは拘束され、兄弟のナルヴィは狼に変身させられた。狼がナリを殺すといった趣旨の文章はみられない。 しかし、『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』では、まず33章で夫婦の息子はナリでその別名がナルヴィだとされている。ところが50章では、ナリの他にヴァーリという息子が登場し、これが狼に変身させられてナリを引き裂いてしまう。腸を引きずり出したのは神々とされている。 シーグルズル・ノルダルがこの違いを次のように解釈している。スノッリはナリとナルヴィを同一人物と考え、最初に息子は1人しか紹介しなかった。ところがロキの捕縛の場面を書く際、息子は2人いなければならなかった。スノッリや彼にこの物語を話した誰かは2人目の名前を、おそらくは誤解から、オーディンの息子ヴァーリと同じヴァーリとした。オーディンの息子は、バルドルを殺したホズに復讐するために生まれてきた。ロキの息子ヴァーリも、バルドルの復活を阻んだロキに対して復讐をする。
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