リンキング数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/21 02:56 UTC 版)
数学的には、ツイスト数とライジング数を足したものをリンキング数(linking number [Lk])と定義する。 Lk = Tw + Wr ひずみのない閉環状DNA(図3A)では、そのツイスト数はB型二重らせんのツイスト数に一致するので、そのときのリンキング数を Lk0 と定義する。すなわち、全長 N 塩基対で二重らせんのピッチを h 塩基対とすると、Lk0 は以下の式で表される。 Lk0 = N/h この分子のDNA鎖を一時的に切断・再結合させて新たに形成されるDNAのリンキング数を Lk としたとき、超らせんの程度はリンキング数の差(ΔLk)として表すことができる。 ΔLk = Lk - Lk0 = ΔTw + ΔWr もし、この値(ΔLk)が負であれば、そのDNAは負の超らせん構造をとり、正であれば、そのDNAは正の超らせん構造をとるという。例えば、二重らせんを6回だけ巻き戻してから(ΔTw = - 6)、再び閉環状DNAを形成させたとすると、 ΔLk = ΔTw + ΔWr = -6 + 0 = -6 ここでは、ΔWr = 0として見かけの超らせんをつくらない状況に固定しているため、DNAは一部の二重らせんがほどけた形態をとらざるを得ない(図3B)。一方、リンキング数を変化させないまま、ΔTwをΔWrに変換することができるので、同じDNA分子は、 ΔLk = ΔTw + ΔWr = 0 + -6 = -6 という状態をとることもできる(図3C)。この状態では、二重らせんはほどけていない(ΔTw = 0)代わりに、そのひずみはDNA分子全体に負の超らせんとして顕在化する(ΔWr = -6)。2つの形態(図3Bと図3C)は、DNA鎖の切断・再結合を介することなく相互に変換可能である。すなわち、負の超らせんをもつ2重鎖DNAはほどけやすいということができる。逆に、正の超らせんをもつ2重鎖DNAはほどけにくい。この概念は、超らせんの生理学的機能を考えるときに極めて重要である。また、同じリンキング数をもつ超らせんは、plectonemic 型(interwound 型;図3C)の他に、toroidal 型(solenoidal 型;図3D)と呼ばれる、よりコンパクトな形態をとることが可能である。負の超らせんは左巻きの toroidal 型形態を、正の超らせんは右巻きの toroidal 型形態をとる(図4)。
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