ムステリアン文化とは? わかりやすく解説

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ムスティエ文化

(ムステリアン文化 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 16:05 UTC 版)

ムスティエ文化(ムスティエぶんか、ムスチエ文化ムステリアン文化ムスティリアン文化とも)とは、ヨーロッパにおける中期旧石器時代に栄えた文化のこと。氷期の時代と一致しており、ル・ムスティエで遺蹟が発見されたことにちなむ。ムスティエ文化は7万5千年前から9万年前までに発生したが、これはヨーロッパの中期石器時代に該当しており、3万5千年頃に後期旧石器時代に受け継がれた[# 1]


注釈

  1. ^ 西ヨーロッパでは中期旧石器時代はムスティエ文化期と同意語として扱われていた[1]
  2. ^ 例えば1979年にフランスのサン・セゼール (en遺跡で発見された人骨はネアンデルタール人のものであったが、同遺跡はシャテルペロン文化 (enのものであった。このシャテルペロン文化は中期旧石器時代とクロマニョン人が営んだオーリニャック文化の間を繋ぐものであるが、これはクロマニョン人のオーリニャック文化の影響を受けたネアンデルタール人が営んだと考えられている[3]
  3. ^ 望む形の剥片を得るために石刃の打撃面を整えた後に剥片を得る技法[6]。なお、ルヴァロワ技法についてはオーストラリア、ポリネシア、日本においても類似したものが散発的ながら発見されるが、これは独自に会得したとされている[12]
  4. ^ ラ・フェラシー1号、2号、ル・ムスチエ、スピー[18]
  5. ^ ル・ムスチエでは頭部の上にフリントがかぶされ、さらに鼻が保護されており、ラ・シャペルでは頭部の上に平たい石が置かれていた[19]
  6. ^ ラ・シャペルでは牛の関節、トナカイの関節が置かれていた[19]
  7. ^ ラ・シャペル、ル・ムスチエ、ラ・フェラシー3号、4号[19]
  8. ^ ラ・シャペル、ラ・フェラシー3号、4号[19]
  9. ^ ラ・フェラシー3号、4号では牛科の骨、ラ・シャペルではバイソンの角がそれぞれ墓を守るために置かれていた[19]
  10. ^ ただし、フランスの鋸歯縁石器ムスティエ文化とは多くの点で異なっている[21]
  11. ^ この子供の骨はロギンスキとフォルモゾフはネアンデルタール人の特徴を持ちつつも現代的特長を有するとしているが、クラインは比較する材料が無いため、ネアンデルタール人がホモ・サピエンスなのかは判断することは不可能としている[22]
  12. ^ ただし、これはギュスタブ・ショーヴというアマチュア考古学者が発掘していたものであったが、裕福なマルタンがキーナに移住してこの遺蹟全体を買い取って発掘したものであり、地元では怒りを買っていた。ただし、マルタンは医者で科学的見識が高かったため、ネアンデルタール人の解剖学的構造などの研究を行なっていた[31]
  13. ^ 中国において華北より南の地域ではルヴァロワ技法の使用が認められておらず、中国北方と南方の地域差が指摘されている[40]

参照

  1. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.442.
  2. ^ a b c d 旧石器文化談話会 (2007)、p.170.
  3. ^ 赤澤 (2005)、p.128.
  4. ^ ストリンガー、クライヴ (1997)、p.78.
  5. ^ ストリンガー、クライヴ (1997)、p.230.
  6. ^ a b シャクリー (1985)、p.68.
  7. ^ シャクリー (1985)、pp.68-69.
  8. ^ 旧石器文化談話会 (2007)、pp.169-170.
  9. ^ シャクリー (1985)、p.69.
  10. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.443.
  11. ^ シャクリー (1985)、pp.69-72.
  12. ^ 旧石器文化談話会 (2007)、p.188.
  13. ^ シャクリー (1985)、pp.72-74.
  14. ^ シャクリー (1985)、pp.74-79.
  15. ^ ストリンガー、クライヴ (1997)、p.270.
  16. ^ シャクリー (1985)、pp.146-147.
  17. ^ シャクリー (1985)、pp.145-146.
  18. ^ シャクリー (1985)、p.147.
  19. ^ a b c d e シャクリー (1985)、p.148.
  20. ^ シャクリー (1985)、pp.147-149.
  21. ^ シャクリー (1985)、p.154.
  22. ^ シャクリー (1985)、p.156.
  23. ^ シャクリー (1985)、pp.153-155.
  24. ^ シャクリー (1985)、pp.158-167.
  25. ^ a b c 旧石器文化談話会 (2007)、p.209.
  26. ^ シャクリー (1985)、pp.82-84.
  27. ^ ストリンガー、クライヴ (1997)、pp.278-194.
  28. ^ 郷原(1975)p.9
  29. ^ シャクリー (1985)、pp.78-79.
  30. ^ シャクリー (1985)、pp.79-80.
  31. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.251.
  32. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、pp.251-257.
  33. ^ シュリーブ (1996)、p.172.
  34. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説”. コトバンク. 2018年2月17日閲覧。
  35. ^ a b c ギャンブル (2001)、p.195.
  36. ^ a b 周藤 (1997)、pp.20-21.
  37. ^ 周藤 (1997)、p.238.
  38. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.228.
  39. ^ 折茂(2002)pp.23-24
  40. ^ 折茂(2002)p.24
  41. ^ a b 木村 (1997)、p.80.
  42. ^ a b 木村 (1997)、pp.83-85.
  43. ^ 木村 (1997)、pp.81-82.
  44. ^ 木村 (1997)、pp.52-53.
  45. ^ 木村 (1997)、pp.85-87.
  46. ^ 木村 (1997)、p.52.
  47. ^ natureNEWS『Fossil finger points to new human species』
  48. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.427.
  49. ^ トリンカウス、シップマン (1998)、p.429.
  50. ^ 河合 (1999)、pp.71-76.
  51. ^ ストリンガー、クライヴ (1997)、pp.372-386.





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