ミカエリス-メンテン式の線形プロット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 07:46 UTC 版)
「酵素反応速度論」の記事における「ミカエリス-メンテン式の線形プロット」の解説
バージニア大学の、ミカエリス-メンテン速度論のチュートリアル (英語) で、速度論的パラメータが変わったときの酵素の挙動を試してみることができる。 v と [S] を縦横に取ってグラフを描くと、直線にはならない。[S] が小さいうちは線形だが[S] が大きい部分では飽和し、グラフが曲がってくるのだ。コンピュータで非線形回帰分析ができるようになる前はこの非線形性のせいでKm と Vmax を正確に読み取ることは難しかった。そのため、ラインウィーバー=バークプロット、イーディー=ホフステー図、ヘインズ=ウルフプロット といった線形化手法が編みだされた。これらの表現法は、データを表示するには有用だが、速度係数を求めるためにはもはや使われていない。非線形回帰によってより正確に係数を求めるソフトウェアがあるためだ。 ラインウィーバー=バークプロット(別名:二重逆数プロット)は速度論的データを示す際によく使われる。これはミカエリス-メンテン式の両辺の逆数を取ると得られる。右に示したようにミカエリス-メンテン式の線形化であり、y = mx + c 型の直線となる。y 切片は 1/Vmax に等しく、x切片は -1/Km を表す。 1 v = K m V max [ S ] + 1 V max {\displaystyle {\frac {1}{v}}={\frac {K_{m}}{V_{\max[}{\mbox{S}}]}}+{\frac {1}{V_{\max }}}} もちろん、 1/[S] が負となるような部分の数値を測定することはできない。1/[S] = 0 である下限 (y切片) は基質濃度無限大にあたり、右に示すように 1/v=1/Vmax である。また、x切片は、正の濃度における実験データから外挿したものである。しかもラインウィーバー=バークプロットは、基質濃度が低い条件で測定したデータを過大評価しており、Vmax とKmを不正確にする恐れがある。より正確な線形プロットは、イーディー=ホフステー図である。この図ではv を、v/[S] に対してプロットする。3つ目の線形プロットは、ヘインズ・ウルフプロットであり、[S]/v を [S] に対してプロットする。どの場合でも、データを正規化することで、実験の量を減らし、結果の信頼性を改善することができるし、視覚的または数値的な解析にも適している。
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