マントの質入れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 05:07 UTC 版)
2日ほど後、佐野と菊池は金に窮してそのマントを一時質入れすることにした。佐野は菊池にマントのことを、同県人の先輩大学生の黒田から借りたものと言っていた。日頃から自分の蒲団などを質入れしていた菊池は、白昼堂々そのマントを着て質屋に行った。普段はマントなど着たことのない菊池が珍しくマントを着て校門を出て、帰りは手ぶらで戻ってきた姿は人目に付いた。 その夜、成瀬正一とトランプをしていた菊池は、寄宿舎の生徒監の谷山初七郎に呼び出された。菊池が質入れしたマントは盗難届が出されていたもので、北寮の1年生の部屋から紛失していたものだった。谷山や大沼という年配の体育教師にマントの入手先を問い詰められた菊池は自分の嫌疑を晴らしたかったが、佐野は郷里の人を東京案内していて不在であった。 とりあえず菊池は親友を守るため(佐野に会ってから真相を確かめてから善後策を講じようと思い)、その場は自分が盗んだことにして寮務室を出ることを考えた。一高名物の鉄拳制裁が怖かった菊池は、自分が殴られるか大沼先生に聞くと、退学となれば制裁は受ける必要はないと言われ、「じゃとにかく僕がしたことにしましょう」と退出した。
※この「マントの質入れ」の解説は、「マント事件」の解説の一部です。
「マントの質入れ」を含む「マント事件」の記事については、「マント事件」の概要を参照ください。
- マントの質入れのページへのリンク