マッキー分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/26 17:47 UTC 版)
マッキー分解はリー群の文脈でジョージ・マッキー(英語版) (George Mackey) によって定義され研究されたが、有限群の指標理論や表現論において強力な道具である。その基本的な形は、有限群 G の部分群 H から誘導された指標(あるいは加群)が G の(異なってもよい)部分群 K に再び制限したときにどのように振る舞うかを考え、G の (H, K)-両側剰余類 への分解を用いる。 G = ⋃ t ∈ T H t K {\displaystyle G=\bigcup _{t\in T}HtK} が非交叉和で、θ が H の複素類関数ならば、マッキーの公式は ( θ G ) K = ∑ t ∈ T ( [ θ t ] t − 1 H t ∩ K ) K {\displaystyle \left(\theta ^{G}\right)_{K}=\sum _{t\in T}\left(\left[\theta ^{t}\right]_{t^{-1}Ht\cap K}\right)^{K}} である、ただし θt はすべての h ∈ H に対して θ t(t−1ht) = θ(h) によって定義される t−1Ht の類関数である。誘導加群の部分群への制限に対する類似の公式もあり、任意の環上の表現に対して成り立ち、代数とトポロジーの広範な文脈で応用がある。 マッキー分解は、フロベニウスの相互律とあわせて、部分群 H と K から誘導された2つの類関数 θ と ψ の内積に対する有名で有用な公式を生む。その有用性は H と K の共役がお互いにどのように交わるかのみに依るという事実にある。(導出とともに)公式は: ⟨ θ G , ψ G ⟩ = ⟨ ( θ G ) K , ψ ⟩ = ∑ t ∈ T ⟨ ( [ θ t ] t − 1 H t ∩ K ) K , ψ ⟩ = ∑ t ∈ T ⟨ ( θ t ) t − 1 H t ∩ K , ψ t − 1 H t ∩ K ⟩ , {\displaystyle {\begin{aligned}\left\langle \theta ^{G},\psi ^{G}\right\rangle &=\left\langle \left(\theta ^{G}\right)_{K},\psi \right\rangle \\&=\sum _{t\in T}\left\langle \left(\left[\theta ^{t}\right]_{t^{-1}Ht\cap K}\right)^{K},\psi \right\rangle \\&=\sum _{t\in T}\left\langle \left(\theta ^{t}\right)_{t^{-1}Ht\cap K},\psi _{t^{-1}Ht\cap K}\right\rangle ,\end{aligned}}} (ただし T は前のように (H, K)-両側剰余類の完全代表系)。この公式は θ と ψ が線型指標であるときにしばしば用いられ、このとき右辺の和に現れるすべての内積は 1 か 0 で、線型指標 θ t と ψ が t−1Ht ∩ K への制限で同じになるか否かに対応する。θ と ψ がともに自明指標ならば、内積は単に |T | となる。
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