ポリマー‐アロイ【polymer alloy】
ポリマーアロイ
それぞれが優れた特性をもつ2つ以上の高分子材料を、相溶化剤を加えて相溶化させ、ひとつの樹脂として高機能をもたせた高分子材料。耐熱性、耐候性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性、難燃性など物性の改良、または接着性、親水性、成形性など新しい特性が付与される。例えばAS(アクリロニトリルースチレン)樹脂にポリブタジエンゴムを相溶化させ耐衝撃性、機械的強さを改善したABS樹脂がある。またポリフェニレンオキシドにポリスチレンをブレンドすることにより成形性を解決したノリル、すなわち変性PPO樹脂などがある。そのほか自動車分野では弾性率、耐衝撃性、耐熱性、耐塗装性に優れたポリマーアロイとしてポリカーボネート、ABSが内装材に、PC、ポリブチレンテレフタレートがドアアウターハンドルなどに用いられている。
参照 PP材、PPポリマーアロイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 19:35 UTC 版)
ポリマーアロイとは複数のポリマーを混合することで、新しい特性を持たせた高分子のことである。複数の金属から作られる合金(アロイ)になぞらえてポリマーアロイと呼ばれる[1]。新しいエンジニアリングプラスチックを開発する重要な方法の一つである。
通常は複数のポリマーを単純に練合しても相分離してしまうので相溶化剤を用いたり、二次的にブロック重合やグラフト重合させることで生成する。あるいは一方のポリマーをクラスター状に分散させるなどして均一相にすることで生成する。後者のように物理的なプロセスでポリマーアロイを作る技術をポリマーブレンドと呼ぶ。
ABS樹脂は、AS樹脂とブタジエンゴム粒子にAS樹脂をグラフト重合させたグラフト粒子とから構成され、ポリマーアロイの代表的な成功例とされている
・共重合との違い
共重合の場合、モノマーの比率を変えるなどして特性をかえるが、ポリマーアロイはポリマーとして成立したものを混合させて新しい特性を得るものをいう。
代表的なポリマーアロイ
- 変性PPE - ポリフェニリン・エーテル(PPE)と ポリスチレン(PS)
- PC/ABSアロイ - ABS樹脂と ポリカーボネート(PC)
- PBT/ABSアロイ - ABS樹脂と ポリブチレンテレフタレート(PBT)
- PA/ABSアロイ - ABS樹脂と ポリアミド(PA)
- PC/PSアロイ - ポリスチレン(PS)と ポリカーボネート(PC)
脚注
- ^ 齋藤勝裕『生きて動いている「有機化学」がわかる』ベレ出版、2015年1月25日、190頁。ISBN 9784860644246。
関連項目
ポリマー‐アロイと同じ種類の言葉
アロイに関連する言葉 | スーパーアロイ フェロアロイ ポリマーアロイ アロイ |
固有名詞の分類
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