ペアリング項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:23 UTC 版)
「ベーテ・ヴァイツゼッカーの公式」の記事における「ペアリング項」の解説
観測により、陽子数と中性子数が偶数のときは奇数のときよりも原子核は安定になることが知られており、このことを説明する項も付け加えられる。この項は、殻モデルにより初めて理論的に説明される。殻モデルによれば、中性子および陽子はそれぞれスピンがゼロになるようにペアになるほうが安定である。陽子数と中性子数の両方、または片方が奇数のとき、ペアになれずに余った核子ができ、その核子は結合が弱いと考えられる。 陽子数 Z と中性子数 N の両方が偶数の核(gg-核、独: gerade–gerade)はしたがって最も結合が固く、Z と N の両方が奇数の核(uu-核、独: ungerade–ungerade)は最も結合が弱く、残りの核(ug-核)はその中間となる。gg-核は最も安定な核種となり、uu-核は4つの軽い核 2H, 6Li, 10B, 14N 以外は不安定である。この項の影響は、核子の数が多いほど小さくなる。よって、この項は以下のように見積もられる。 + { + a P ⋅ A − 1 2 gg 0 ug,gu − a P ⋅ A − 1 2 uu ( a P ≈ 11.2 M e V ) {\displaystyle +{\begin{cases}+a_{\mathrm {P} }\cdot A^{-{\frac {1}{2}}}&{\text{gg}}\\0&{\text{ug,gu}}\\-a_{\mathrm {P} }\cdot A^{-{\frac {1}{2}}}&{\text{uu}}\end{cases}}\qquad (a_{\mathrm {P} }\approx 11.2~\mathrm {MeV} )} ここまでで与えられた定数の値は、実験的に得られた少くとも五つの核の質量から質量公式を用いて決定された経験的パラメータである。文献によって、どの核を用いるかが異なるため、値は若干変動しうる。これは、どの質量領域に対して最適化したかが異なるためである。
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