ヘルシンキ市電Nr II形電車とは? わかりやすく解説

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ヘルシンキ市電Nr II形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 03:19 UTC 版)

ヘルシンキ市電Nr II形電車
ヘルシンキ市電NRV II形電車
ヘルシンキ市電MLNRV II形電車
MLNRV II形(86、改造後)(2010年撮影)
基本情報
運用者 ヘルシンキ市交通局
製造所 ヴァルメト
製造年 1983年 - 1987年
製造数 42両(71 - 112)
改造年 2006年 - 2010年(3車体連接車化)
改造数 42両
投入先 ヘルシンキ市電
主要諸元
軸配置 B'2'B'(2車体連接車)
B'2'2'B'(3車体連接車)
軌間 1,000 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 60km/h
起動加速度 4.32km/h/s
車両定員 169人(着席49人)(3車体連接車)
車両重量 27.2 t(2車体連接車)
33.5 t(3車体連接車)
全長 20,100 mm(2車体連接車)
26,500 mm(3車体連接車)
全幅 2,300 mm
床面高さ 910mm
車輪径 720mm
固定軸距 1,800 mm
台車中心間距離 6,400 mm
主電動機 Strömberg英語版 GHCU/H6232
主電動機出力 156kW
出力 312kW
制御方式 電機子チョッパ制御方式
制動装置 発電ブレーキディスクブレーキ電磁吸着ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5]に基づく。
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Nr II形は、フィンランドヘルシンキ市電で使用されている路面電車車両NRV II形とも呼ばれ、2020年現在は全車とも低床車体を挿入したMLNRV II形に改造されている[1][2][3][4]

概要

1960年代以降、地下鉄ヘルシンキ地下鉄)の整備に加えモータリーゼーションの進展から廃止が検討されていたヘルシンキ市電であったが、路面電車の見直しの動きを受けて1970年代からは路線の延伸を始めとした存続へ向けた事業が積極的に行われるようになった。その中で、当時ヘルシンキ市電に残存していた1950年代製のボギー車を全面的に置き換えるために導入されたのが2車体連接車のNr II形である。尾灯の形状など一部を除いた車体構造や機器は1973年以降導入が行われていたNr I形と同一で、運転台や乗降扉は片側のみに設置されている[1][2][3][4][6]

1983年から1987年にかけて42両(71 - 112)が導入され、残存していたボギー車を全て置き換えた。塗装については1986年まで導入された車両は赤色灰色を基調としたデザインが用いられたが、最終年となる1987年に増備された9両(104 - 112)はボギー車と同様の上半分クリーム色、下半分緑色に変更され、他車も1995年までに同様に塗り替えられている。[1][2][4]

後述する改造に加え、2006年から2010年にかけては全車を対象に全長2,650 mm、乗降扉付近に低床構造を有する中間車体を挿入し3車体連接車とする改造が実施され、同時に主電動機出力も130kWから156kWに増強された他、形式名も「MLNRV II」に変更された。2020年現在も全車が在籍する[1][2][3]

事故

2003年7月21日、Nr II形とバイクが衝突し、バイク側の運転士が即死した一方Nr II形も脱線しデパートの建物に衝突する事故が発生した。その後の警察の調査により、路面電車側の運転手が前面ガラスから差し込む太陽熱で運転室の温度が上昇した結果意識を失い、制動装置の操作が不可能となったのが事故の要因とされた。これを受け、一部車両(72、95、109)に対し前面ガラス上部に日光を抑制するひさしが取り付けられたが、それ以外の車両への改造は行われておらず、改造された3両もMLNRV Ⅱ形への改造時に元の形態へ戻された[2][7]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e MLNRV II”. HKL (2018年1月30日). 2020年10月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e f HKL: Moottorivaunut 71 - 112 (1983-87 - 2011) / HKL: Motor trams 71 - 112 (1983-87 - 2011)”. raitio. 2013年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月30日閲覧。
  3. ^ a b c d Neil Pulling (2020-1). “Systems Factfile:Helsiniki”. Tramways & Urban Transit No.985 (LRTA) 83: 26. http://www.bowe.cc/techlib/pdf/Tramways_and_Urban_Transit_vol83_no985_1578702547.pdf 2020年10月30日閲覧。. 
  4. ^ a b c d Helsingin raideliikenteen historiaa”. Kaupunkiliikenne.net (2016年7月4日). 2020年10月30日閲覧。
  5. ^ Harry Hondius (2002-7/8). “Rozwój tramwajów i kolejek miejskich (2)”. TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 38. http://yadda.icm.edu.pl/yadda/element/bwmeta1.element.baztech-article-BGPK-0379-2650/c/Hondius.pdf 2020年10月30日閲覧。. 
  6. ^ NRV I”. HKL (2018年1月30日). 2020年10月30日閲覧。
  7. ^ Raitiovaunuturman tutkimukset jatkuivat kiertoajolla”. MTV3.fi (2003年8月1日). 2011年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月30日閲覧。

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