フールズ・メイトとは? わかりやすく解説

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フールズ・メイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 16:07 UTC 版)

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フールズ・メイト
白のキングは詰んでいる。
フールズメイトにいたる手順

チェスにおけるフールズ・メイト(Fool's mate)は、最初の状態から最短の手数で詰みにいたる手順である。"Two-Move Checkmate"とも呼ばれる。

手順

冒頭の詰みは以下の手順である。

  1. f3 e5
  2. g4?? Qh4#

手順前後やポーンの位置の違いによるバリエーションが数通りある。



この記事では、チェスのムーブを記述するために代数式表記法を使用している。

詳細

フールズ・メイトは、白が非常に誤った(「愚かな」と言い換えることができる)指し方をしなければ発生しないためこの名が付けられている。しかし、初心者レベルの対局でもこの詰みが現れることはほとんどない。

Teed vs. Delmar, 1896
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6...Rh6?
白はこの後2手で詰ますことができる。

同種の詰みは対局がもう少し進んでから起きることもある。例えば、1896年のフランク・メルヴィン・ティード(Frank Melville Teed)とユージン・デルマー(Eugene Delmar)の対局では、ダッチ・ディフェンスからこの詰みが発生している[1]

1. d4 f5 2. Bg5 h6 3. Bf4 g5 4. Bg3 f4
ここまでは黒がうまくビショップを捕獲したように見えるが
5. e3
この一手は Qh5# というフールズ・メイトを狙っている。
5... h5 6. Bd3?!
6.Be2 の方がよさそうだが、白は罠を仕掛けている。
6... Rh6??
このルークは Bg6# を防ごうとしている。しかし
7. Qxh5+!
白はクイーンを捨ててルークの利きを g6 からそらす。
7... Rxh5 8. Bg6#

同様の詰みはフロム・ギャンビットから発生することもある。一例は以下の手順である。 1. f4 e5 2. g3? exf4 3. gxf4?? Qh4#

さらに広義には、フールズ・メイトという言葉は同種の短手数の詰み全般を指す。1. e4 g5 2. d4 f6?? 3. Qh5# のような手順がその一例である。基本的なフールズ・メイトのパターンは、詰まされる側がf,g列のポーンを前進させ、邪魔がいない斜め方向からクイーンで詰ますものである。フールズ・メイトが報告された事例としては、1959年の Masfield と Trinka[2]による3手(1. e4 g5 2. Nc3 f5?? 3. Qh5#)のものがあるが、おそらく作り話であると考えられている [3] [4] [5] [6] [7]

更に広義には、チェス類全般の同様な形の最短手数による詰みを指す。例えば、プログレッシブ・チェス(en)におけるフールズ・メイトは 1. e4 2. f6 g5?? 3. Qh5# という手順である。

ジョアッキーノ・グレコ vs. 対戦者不明
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8.Bg6#

同種の罠

同種の手順がジョアッキーノ・グレコの1625年の著作にある。

1. e4 b6 2. d4 Bb7 3. Bd3 f5? 4. exf5 Bxg2? 5. Qh5+ g6 6. fxg6 Nf6??
6...Bg7 としてキングの逃げ道を作ればこの対局を長引かせることができた。以下 7.Qf5! Nf6 8.Bh6 Bxh6 9.gxh7 Bxh1 10.Qg6+ Kf8 11.Qxh6+ Kf7 12.Nh3 のような手順になる[8]
7. gxh7+! Nxh5 8. Bg6#

将棋

将棋においては、初形から6手で詰みにいたる手順が知られている。この手順はルール上詰んでいるが、先手には(無駄な)抵抗の余地がある。

  • ▲7六歩△3四歩▲6八玉△8八角成▲5八金右△9五角
    • 以下先手の無駄な抵抗(2通り)
      • (▲8六歩△同角)
      • (▲7七桂△同角成)

以下は、初形から7手で後手玉を詰ますパターンの例であるが、他にも複数ある。

  • ▲7六歩△7二金▲3三角成△4二金▲同馬△6一玉▲5二金
  • ▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲2四歩△4二飛▲2三歩成

関連項目

  • 馬鹿詰め

脚注

  1. ^ Teed vs. Delmar
  2. ^ 資料によって Mayfield や Mansfield、Trinks や Trent などと記載されている。
  3. ^ Mike Fox and Richard James (1993). The Even More Complete Chess Addict. Faber and Faber. pp. 177 
  4. ^ Winter, Edward (2005). Chess Facts and Fables. McFarland & Co.. pp. 253–254. ISBN 978-0-7864-2310-1 
  5. ^ Edward G. Winter. “Chess Notes 4493. Short game”. 2015年11月24日閲覧。
  6. ^ Edward G. Winter. “Chess Notes 4506. Short game (C.N. 4493)”. 2015年11月24日閲覧。
  7. ^ Averbakh, Yuri Lvovich; Beilin, Mikhail Abramovich (1972) (Russian). Fizkultura i sport. p. 227 
  8. ^ Lev Alburt (2011). Chess Openings for White, Explained. Chess Information Research Center. p. 509 

関連文献

  • Hooper, David; Whyld, Kenneth (1992), “Fool's Mate”, The Oxford Companion to Chess (2nd ed.), Oxford University Press, ISBN 0-19-280049-3 

FOOL'S MATE

(フールズ・メイト から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/08 06:12 UTC 版)

FOOL'S MATE』(フールズ・メイト)は、1977年に創刊された日本音楽雑誌。2012年12月発売の第376号をもって、以降の新刊の発行を停止[1]

概要

1977年に初代編集長でもある北村昌士によって創刊(創刊号は1977年8月号)。当初の判型はA4判で、後にB5判になり、現在はA4変型である。

"fool's mate"はもともとはチェスの用語で、白黒双方が協力して最短でチェックメイトに至る手のことであるが、本誌の誌名は直接的には、ピーター・ハミルの同名のファースト・ソロ・アルバムから採られている。

プログレッシブ・ロックニュー・ウェイヴといった当時の先端的な音楽を中心とし、ウィリアム・バロウズなどのサブカルチャーまでを取り扱った。

北村以外には、北村の後に編集長となった羽積秀明、瀧見憲司らが編集に携わり、メルツバウの秋田昌美らも記事を執筆していた。

1990年代に入ると、『FOOL'S MATE』は通巻100号を機に洋楽専門誌と邦楽専門誌に分割された。洋楽専門誌は『MIX』となり、後に『remix』に改名しクラブカルチャー誌となった。一方、邦楽専門誌は本誌の誌名を継いだが、後にヴィジュアル系ロック専門誌に衣替えして初期とはまったく異なる内容となった。 『remix』は七尾旅人が表紙の2009年10月号で編集部が総入れ替えになるとアナウンスされたが、続刊はなくそのまま休刊した。

2013年3月14日、ニコニコ生放送「FOOL'S MATE channel」開設[2]。現在は、FRESH! by CyberAgentでも生配信している。

脚注

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  1. ^ フールズメイト編集総括 羽積秀明 (2012年10月). “本誌読者の皆さまへ”. FOOL'S MATE OFFICIAL WEB. FOOL'S MATE. 2012年12月18日閲覧。
  2. ^ FOOL'S MATE channel(フールズメイト) - ニコニコチャンネル:音楽.ニコニコチャンネル(niconico).2017年11月8日閲覧。

外部リンク


フールズ・メイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:21 UTC 版)

詰み」の記事における「フールズ・メイト」の解説

フールズ・メイト(Fool's mateもしくは愚者メイトとは、序盤から悪手重ねて最短チェックメイト陥る手順を指す。 詳細は「フールズ・メイト」を参照 白のフールズ・メイト 白が最も早く詰む手順 1.f3?またはf4? e5 2.g4?? Qh4# 黒のフールズ・メイト 黒が最も早く詰む手順 1.e4 f6? 2.d4 g5?? 3.Qh5#

※この「フールズ・メイト」の解説は、「詰み」の解説の一部です。
「フールズ・メイト」を含む「詰み」の記事については、「詰み」の概要を参照ください。

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