フラッティーニ部分群とは? わかりやすく解説

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フラッティーニ部分群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/19 18:18 UTC 版)

二面体群 Dih4英語版部分群の束英語版ハッセ図式

3 つの要素からなる層が極大部分群である。
それらの共通部分(フラッティーニ部分群)は 5 つの要素からなる層の真ん中の要素である。
よって Dih4e の他に非生成元を 1 つしかもたない。
Giovanni Frattini (1852 – 1925)

数学において、 Gフラッティーニ部分群 (: Frattini subgroup) Φ(G) とは G のすべての極大部分群英語版共通部分である。ただし、群 G が極大部分群をもたない場合には、Φ(G) = G によって定義される。

フラッティーニ部分群は環論ジャコブソン根基と類似しており[1]、直感的には「小さい元」からなる部分群と考えることができる(下記の「非生成元」による特徴づけを見よ)。Giovanni Frattini英語版 にちなんで名づけられている。彼はその概念を1885年に出版された論文で定義した[2]

事実

  • G のフラッティーニ部分群 Φ(G) は G のすべての非生成元 (non-generators, non-generating elements) の集合に等しい[3]。ここで G の非生成元とは常に生成集合から取り除くことができる元である。つまり X ∪ {c} が G の生成集合であるときには、X もまた G の生成集合であるような G の元 c を指す。
  • Φ(G) は G特性部分群である。とくに、それは G正規部分群である。
  • 有限群 G の正規部分群 N冪零である必要十分条件は N ′ ⊆ Φ(G) が成り立つことである[4]。特にフラッティーニ部分群 Φ(G) は冪零であり、またフィッティング部分群 F(G) との間に F(G)′ ⊆ Φ(G) ⊆ F(G) という関係が成り立つ。
  • G が有限 p-群であれば、Φ(G) = G ′ Gp である[5]。したがって、フラッティーニ部分群は商群 G/N基本アーベル群、すなわち位数 p巡回群直和同型であるような包含に関する最小の正規部分群 N である[6]。さらに、商群 G/Φ(G) (Gフラッティーニ商 (Frattini quotient) とも呼ばれる)が位数 pk をもてば、kG の生成元の最小の個数である(つまり G の生成集合の最小の濃度である)。とくに有限 p-群が巡回群であることとそのフラッティーニ商が(位数 p の)巡回群であることは同値である。有限 p-群が基本アーベルであることとそのフラッティーニ部分群が自明群、Φ(G) = {e} であることは同値である。
  • G = H × K有限生成群であれば、Φ(G) = Φ(H) × Φ(K) である[7]
  • 有限群 G の正規部分群 N について Φ(G/N) ≥ Φ(G)N/N が成り立つ[8]

脚注

  1. ^ Cohn 2003, p. 48.
  2. ^ Frattini 1885
  3. ^ Cohn 2003, Proposition 2.6.1.
  4. ^ Cohn 2003, Proposition 2.6.5 (Wielandt).
  5. ^ Cohn 2003, Exercise 6.
  6. ^ Aschbacher 2000, 23.2.
  7. ^ Dixon 1973, 8.22.
  8. ^ Robinson 1996, 5.2.13(iii).

参考文献

関連項目

外部リンク


フラッティーニ部分群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:40 UTC 版)

群の生成系」の記事における「フラッティーニ部分群」の解説

生成元関連する話題には非生成元 (non-generator) に関するものがある。群 G の元 x は、G を生成する x を含むすべての集合 S が x を S から除いてもなお G を生成するならば、非生成元である。整数全体のなす加法群において、唯一の非生成元は 0 である。すべての非生成元からなる集合は G の部分群、フラッティーニ部分群をなす。

※この「フラッティーニ部分群」の解説は、「群の生成系」の解説の一部です。
「フラッティーニ部分群」を含む「群の生成系」の記事については、「群の生成系」の概要を参照ください。

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