ピーター卿の性格破綻問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 02:17 UTC 版)
「ドロシー・L・セイヤーズ」の記事における「ピーター卿の性格破綻問題」の解説
推理小説の探偵は自由に探偵活動ができなければいけない。だから個人的に裕福でしかも貴族の称号を持った人物が、二つの大戦の間のロンドンで殺気だって走り回り、謎を解いていかなければならなかったのである。ピーター卿は次男である(ので、長男のようには家族に縛られず、楽しみを必要としている)。同時に資産を持っている(『忙しい蜜月旅行』Busman's Honeymoonの中でDowager Duchessがウィムジイが所有する「ロンドンの財産」について触れているように)。金持ちで教養があり、魅力的でしかも勇敢といった性格の上に、彼女はさらに大きな1つの要素を加えた。ピーター卿は神経を病んでおり、責任を恐れる。これらはいずれも、英国陸軍大佐として戦役に参加した際に撃たれて壕に埋まり、部下に掘り出してもらった経験によるものである。 都筑道夫は、『忙しい蜜月旅行』(ハヤカワポケットミステリ)の解説の中で、セイヤーズが貴族探偵を生み出した動機として、作家自身が金に困っていたので、せめて探偵役には良い暮しをさせたいと考えたと説明している。ウィムジイの精神的な弱さは、ハリエットとの関係にも大きな影響を与え、小説に奥行きをもたらすことになった。
※この「ピーター卿の性格破綻問題」の解説は、「ドロシー・L・セイヤーズ」の解説の一部です。
「ピーター卿の性格破綻問題」を含む「ドロシー・L・セイヤーズ」の記事については、「ドロシー・L・セイヤーズ」の概要を参照ください。
- ピーター卿の性格破綻問題のページへのリンク