ピリン前駆体分解酵素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/19 22:58 UTC 版)
ピリン前駆体分解酵素 (Prepilin peptidase:PilD、EC 3.4.23.43)とはIV型ピリン前駆体を基質とするタンパク質分解酵素の一つである。この酵素は、IV型ピリン前駆体のN末端にある5-8残基のリーダーペプチドにおけるグリシン-フェニルアラニン間の結合を切断し、このN末端を除去し、さらにS-アデノシル-L-メチオニンをメチル基の供給元として前駆体の新しいN末端アミノ基をメチル化する。この酵素は多くの細菌の表面に存在する。IV型ピリン前駆体は病原性のグラム陰性細菌の多くで一般的な分泌経路に不可欠な成分である。 Pseudomonas aeruginosa由来においてこの酵素はIV型性繊毛の生合成と細胞外タンパク質(外毒素や細胞外酵素など)の分泌の決定因子である。これらの機能のほか、ピリン前駆体およびピリン前駆体様タンパク質は広範囲の細菌で共通してみられ、IV型線毛の形成、他の個体への遺伝子導入、およびバイオフィルム形成に必要とされる。ピリン前駆体分解酵素は他のタンパク質分解酵素と異なり、2本鎖アスパラギン酸分解酵素ファミリーの代表的酵素である。
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