ピアノロールは本当に演奏家の生演奏なのか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 04:54 UTC 版)
「ピアノロール」の記事における「ピアノロールは本当に演奏家の生演奏なのか」の解説
これについては、様々に議論されている。 SP78回転時代の演奏家が音階も危なっかしいほどの間違いだらけなのに、ロールが完全無欠のノーミスなのはおかしいという議論である。ガブリエル・フォーレの本人のロール(グラン・カプリス)はありえないほどの演奏の速さであり、パーシー・グレンジャーのロール(アニトラの踊り)は連弾でしか達成できない付け加えられた音符が弾きこまれている。実際にはこれは「ピアノリスト(Pianolist、pianola専門奏者、という意味)」と呼ばれる専門の技術者が本人のパンチングをもとにミスタッチを消して、実際の演奏よりも速く演奏したかのように編集を行っていたのである。これはLPやCD時代の演奏技術の編集にも大いに影響を与えている。このプロのピアノリストはレックス・ローソンがとくに有名な存在として知られている。 SP時代はそのようなことが出来なくなったので、ミスタッチは不可抗力で残ってしまった。しかし「実際の演奏されている速度より速く」演奏して、素人を驚かせるという編集行為は続いていた。ジェルジ・リゲティはこの「ピアノリスト」とのコラボレーションにユルゲン・ホッカーを起用し、いくつかの録音がYouTubeで聴ける。イーゴリ・ストラヴィンスキーの「火の鳥」も同様の処理を作曲者自らが行っていた。これについては、本人のピアノの78回転も残されているので、ロールの編集がどの程度だったかを想定できる貴重な例である。
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