ヒキとヒミ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/04 14:01 UTC 版)
名称「ヒコ」と「ヒメ」の言葉は古くは「ヒキまたはヒク」と「ヒミ」にそれぞれ発音されていたことが知られている。「チクマナガヒコ(千熊長彦)」を『百済記』は「チクマナナカヒキ(職麻那那加比跪)」と記し、「オオヒコ(大彦、大毘古)」を稲荷山古墳出土鉄剣は「オホヒキ(意富比垝)」と記している。『上宮記』は推古天皇の別名「トヨミケカシキヤヒメ(豊御食炊屋姫)」を「トヨミケカシキヤヒミ(等已彌居加斯支移比彌)」と記している。阿波国の「ハニヤマヒメ神社」は「ハニヤマヒミ(波尓移麻比彌)」と記されている。『魏志倭人伝』が成立した3世紀に遡るとヒコを意味する「卑狗」は「ヒク」と発音された可能性が高く、女王を意味する「ヒメコ」は「ヒミコ」(卑弥呼)と発音された可能性が高い(慣用に従い呼をコと記したが、当時の発音で呼はコではなかったことが知られており、呼はヲ(現在のオ)であった可能性が高い、つまり「ヒミオ」)。 このように「ヒメ・ヒコ」は「ヒキ・ヒミ」にさかのぼるが、さらにその語源は天孫天神族を表す称号「ヒ」に古い男子称号の「キ」が結合した「ヒキ」、あるいは「ヒ」の称号と女子称号にしばしば見られる「ミ」が結合したことにあると考えられる。王や貴人の呼び名を「キミ」と呼ぶのも、この軍事称号的「キ」と呪術称号的「ミ」の結合にその語源を見出すことが可能である。
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