パチンコ球遊器課税事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 15:48 UTC 版)
一通の通達によって実質的に新しい課税が賦課されたため、租税法律主義に反しないかが問題になった事例としては、いわゆる「パチンコ球遊器課税事件」がよく知られている。 これは、1940年(昭和15年)法律第40号として制定された旧物品税法(昭和16年法律第88号により改正)の第1条第1項は課税対象物品の一つとして「遊戯具」を掲げていたものの、パチンコ球遊器についての明記はなく、1950年(昭和25年)までは一部の例外を除きこれに物品税が課されていなかった。 1951年(昭和26年)に国税局長官等が管下の下級税務官庁に「パチンコは遊戯具であるから物品税を賦課せよ」との趣旨の通達を発するに至り、以来この通達に基づいて物品税が課税されることになり、原告がその処分の無効等を求めていたものである。 これについて、最高裁判所は 「論旨は、通達課税による憲法違反を云為しているが、本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解するに妨げがなく、所論違憲の主張は、通達の内容が法の定めに合致しないことを前提とするものであつて、採用し得ない」 という判決を下し、上告を棄却した。
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