バイポーラトランジスタを用いた基本的なカレントミラー回路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/20 08:30 UTC 版)
「カレントミラー」の記事における「バイポーラトランジスタを用いた基本的なカレントミラー回路」の解説
最も簡単なバイポーラカレントミラー回路(図1)はこの考え方によって構成されている。 これは二段のカスケード接続されたトランジスタからなり、トランジスタQ1, Q2はそれぞれ反転動作 / 通常動作の電圧-電流変換器としての役割を果たしている。 トランジスタQ1のエミッタは接地されていて、コレクタ-ベース間電圧は0である。このため、Q1の電圧降下はVBEで、この電圧はダイオード方程式に従って決められる。また、Q1のこの接続方法は、ダイオード接続と呼ばれている(Ebers-Mollモデルも参照のこと)。 回路中で単にダイオードではなく、トランジスタQ1を用いることは重要である。なぜなら、Q1はQ2におけるVBEも決定するからである。もしQ1とQ2の特性がほぼ等しい場合、またQ2のVCBが0になるようにミラー回路出力電圧VOUTを選べば、Q1によって決定されたVBEの値により、Q2を流れるエミッタ電流はQ1を流れるエミッタ電流と等しい値になる。Q1とQ2の特性が等しいので、β0についてもまた等しく、ミラー出力電流もQ1のコレクタ電流と等しくなる。 ミラー回路による出力トランジスタを流れる電流は、任意のコレクタ-ベース間電圧VCBに対して、以下の式で与えられる。 I C = I S ( e V BE V T − 1 ) ( 1 + V CE V A ) {\displaystyle I_{\text{C}}=I_{\text{S}}\left(e^{\frac {V_{\text{BE}}}{V_{\text{T}}}}-1\right)\left(1+{\frac {V_{\text{CE}}}{V_{\text{A}}}}\right)} ここで、ISは逆飽和電流、あるいは規格化電流、VTは熱電圧、VAはアーリー電圧である。この電流はQ2がVCB =0 Vを満たすのであれば、参照電流Irefと以下の式で対応付けられている。 I r e f = I C ( 1 + 2 β 0 ) {\displaystyle I_{\rm {ref}}=I_{\rm {C}}\left(1+{\frac {2}{\beta _{0}}}\right)} この式はQ1のコレクタに節点に対してキルヒホッフの法則を適用することで得られる。 I r e f = I C + I B 1 + I B 2 {\displaystyle I_{\rm {ref}}=I_{\rm {C}}+I_{\rm {B1}}+I_{\rm {B2}}} 参照電流IrefはQ1にコレクタ電流を、Q1, Q2の両方にベース電流を供給している。ここで、Q1, Q2のVCBが共に0であれば、これらのベース電流は等しく、IB1 = IB2 = IBである。したがって、 I r e f = I C + I B + I B = I C + 2 I B = I C ( 1 + 2 β 0 ) {\displaystyle I_{\rm {ref}}=I_{\rm {C}}+I_{\rm {B}}+I_{\rm {B}}=I_{\rm {C}}+2I_{\rm {B}}=I_{\rm {C}}\left(1+{\frac {2}{\beta _{0}}}\right)} を得る。ここで、電流増幅率β0はVCB =0 VにおけるQ1, Q2のβの値である。
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