ナッシュ・クーパーの定理(C1 埋め込み定理)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:16 UTC 版)
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定理 (M, g) をリーマン多様体とし、ƒ: Mm → Rn をユークリッド空間 Rn の中への短い(英語版)(short) C∞ 級埋め込み(あるいははめ込み)とする。ただし n ≥ m + 1.すると、任意の ε > 0 に対し、埋め込み(あるいははめ込み)ƒε: Mm → Rn であって以下の条件を満たすものが存在する。 (i) C1 級である。 (ii) 等長的である:M の点 x における接空間 TxM の任意の 2つのベクトル v, w に対して、 g ( v , w ) = ⟨ d f ϵ ( v ) , d f ϵ ( w ) ⟩ . {\displaystyle g(v,w)=\langle df_{\epsilon }(v),df_{\epsilon }(w)\rangle .} (iii) ƒ に ε-close である:任意の x ∈ M に対し、 | f ( x ) − f ε ( x ) | < ε . {\displaystyle |f(x)-f_{\varepsilon }(x)|<\varepsilon .} 特に、ホイットニーの埋め込み定理(英語版)より、任意の m 次元リーマン多様体は、2m 次元ユークリッド空間の任意に小さい近傍の中への等長な C1-埋め込みを持つ。 定理は、元々はジョン・ナッシュにより、n ≥ m+1 ではなく n ≥ m + 2 という条件のもとで証明され、ニコラス・クーパー(英語版)(Nicolaas Kuiper)により、比較的容易なトリックを使い一般化された。 定理から直感に反することが多く出る。たとえば、任意の向き付けられた閉リーマン面は、3次元ユークリッド空間の任意に小さいε-球の中へ等長的に C1 級に埋め込むことができる(小さな ε に対し、そのような C2 級埋め込みは存在しない。なぜならば、ガウス曲率の公式により、そのような埋め込みの extremal point における曲率は ε−2 以上となるからである)。また、R3 の中への双曲平面の C1 等長埋め込みが存在する。
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