デマゴーグとしてのクレオン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/24 07:30 UTC 版)
「クレオン (政治家)」の記事における「デマゴーグとしてのクレオン」の解説
周知のようにクレオンは代表的なデマゴーグであるとされている。デマゴーグという言葉自体は無定見な扇動政治家という風なイメージがあるが、本来は民衆の指導者という意味の言葉であり、それ自体にネガティブなニュアンスはない。ところが、クレオンに恨みと憎しみを持つトゥキュディデスとアリストファネスによって悪しき指導者としてのデマゴーグ像が確立された。トゥキュディデスは軍事行動における失敗をクレオンに告発されて亡命を余儀なくされ、アリストファネスは『バビュロニア人』でクレオンを非難したために告発され、そのために一層『騎士』において彼を非難したと言われている。トゥキュディデスはクレオンを攻撃的で過激だが、アンフィポリスの敗北にあるように軍事的には無能な扇動者として描き、アリストファネスはその喜劇の中で彼を笑い者にし、スファクテリアでの勝利はデモステネスから手柄を奪い取ったものだと揶揄した。つまり、「トゥキュディデスとアリストファネスという古典期アテネを代表する文人をいわば『敵』にまわし、彼らからさんざん罵倒されたクレオンは、アテネ市民を堕落させた唾棄すべき下劣な扇動政治家として歴史に名を刻むことになった」。
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