ダウン症小児白血病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 02:02 UTC 版)
ダウン症(トリソミー21)の小児は一過性白血病と急性白血病を併せると一般集団の10から20倍ほどの発症率を示す。一過性白血病(transient leukemia:TL)は一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis:TAM)とも呼び、生後6週間以内の乳児が発症し、類白血病様の症状を起こすが肝脾腫大・胸水・腹水・pericardial effusion(心膜周辺の滲出)が主で、リンパ腫肥大・高度の貧血・出血といった症例は少なく、大部分は白血病の治療をしないでも数週間から2カ月で治ってしまうが、17%は生後9か月前に死亡するので肝脾腫大が進行して肝機能不全を伴うような場合は少量のシタラビン(Cytosine arabinoside)を予防的に投与する場合もある。原因となる異常増殖した白血球様細胞は必ずトリソミー21(部分トリソミー含む)で、小児が正常型の細胞が多い(トリソミー21細胞が10%以下)モザイク型のため表現型にダウン症が見られない場合でも選択的にトリソミー21の細胞が増殖して一過性白血病になることがある。急性白血病はダウン症の小児(6ヶ月から3歳)に発生するものの大半が急性巨核芽球性白血病(acute megakaryoblastic leuke acute megakaryoblastic leukemia:AMKL)(AML-M7) であり、異常増殖した細胞にトリソミー以外に白血球による様々な染色体異常がある点が一過性白血病と異なる。急性巨核芽球性白血病はトリソミー21以外の小児には極めて起きにくく、前述の一過性白血病が寛解した小児の1/5が急性巨核芽球性白血病になる。治療はcytosine arabinosidaseを投与する。3歳以降のダウン小児では発症率も傾向も非ダウン症小児と同じになる。
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