ソーカルへの批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 16:34 UTC 版)
ソーカルの一連の行動に対しては、文芸批評家・法学者のスタンレー・フィッシュを中心とする研究者から、学術論文のでっちあげには破壊的な影響があるといった反発が起きて、ソーカルの行動をめぐって大きな論争となった。 上記のようにソーカルは「ポストモダン哲学」において使われる比喩やアナロジーを執拗に嘲笑しているだけで、思想そのものの検討や批評はまったく行っていないため、ソーカルの行為は「単なる揚げ足取りにすぎない」「本そのものを読んでいない」として事件当初から厳しく批判されてきた。 実際に、その後もデリダを中心とする「ポストモダン哲学」の学術的重要性が減じることはなく、現在にいたるまで彼らの思想が重要な研究対象でありつづけているのは、ソーカルによる批判が本質的なものではなかったためだとも指摘される。 また近年では、そもそもソーカルが行った疑似論文発表は本人が言うような「いたずら」「ささやかな実験」といった軽いものではなく、研究者間の信義を裏切るきわめて悪質な行為で、現在ならば間違いなく重大な論文不正として学界追放の対象になるとも指摘されている。また『ソーシャル・テキスト』の編集長がニューヨーク大学におけるソーカルの同僚だったため、ソーカルの単なる個人的な確執が事件の背景にあったとも指摘されている。
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