セティス級フリゲート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/19 14:38 UTC 版)
セティス級フリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 | フリゲート[注 1] |
運用者 | ![]() |
就役期間 | 1991年 - 現在 |
要目 | |
基準排水量 | 2,642トン[1] |
満載排水量 | 3,556トン[1] |
全長 | 112.5 m[1] |
水線長 | 99.8 m[1] |
最大幅 | 14.4 m[1] |
吃水 | 6 m[1] |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | MAN B&W 12v28/32A-Dディーゼルエンジン×3基(2940 kW / 3990 hp) |
推進器 | |
速力 | |
航続距離 | 8,500海里(15.5ノット時) |
乗員 | 60人 (うち士官12人) |
兵装 |
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搭載機 | リンクス哨戒ヘリコプター×1機 |
C4ISTAR |
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レーダー | |
ソナー | |
電子戦・ 対抗手段 |
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セティス級フリゲート(デンマーク語: Inspektionsskibe af THETIS-klassen、英: Thetis class ocean patrol vessels)は、デンマーク海軍のフリゲートの艦級[2][1][注 1]。領海警備や漁業保護といった任務を想定して、4隻が建造された[2]。
設計
本級は、グリーンランドやフェロー諸島の周辺など北氷洋において、領海警備・漁業監視・捜索救難・海上治安活動を前提として設計されている。このことから、船体の外殻は二重構造になっており、80cmまでの砕氷能力が付与されている。また、氷海において繋留などの甲板作業に支障を来たす恐れがあることから、前甲板はタートルバック構造とされているほか、マスト上のレドーム下方には見張室が設けられている。艦全体では375トンまでの着氷に耐えられるとされている[4][3]。
装備
センサー
主レーダーとしては、アレニア・マルコーニの対空・対水上レーダーであるAWS-6が搭載された。これはCバンドで動作する2次元レーダーで、捜索モードでの最大探知距離は200キロメートル、ポップアップ突入してくるミサイルに対しては20キロメートルで探知できるとされているとされていた。またこれとは別に、古野電気製の航海レーダーも搭載された[3][5]。
ソナーとしては、C-TechのCTS-36 RDNソナーを船底装備式に、またトムソン・マルコーニ・ソナーのTSM-2640「サーモン」を可変深度式に搭載する。CTS-36は民生用の魚群探知機から派生して開発されており、設計上36-39キロヘルツ、実運用上は33キロヘルツと高周波で動作する障害物探知ソナーで、音源音圧220デシベル、スケール上の最大探知距離は4,000メートルであった。一方、TSM-2640は送受波器を24本のステーブに整列しており、動作周波数は12キロヘルツと中周波、音源音圧217デシベル、最大探知距離は11キロメートルとされていた[5]。
武器システム
本級は、スタンダード・フレックス・コンセプトを適用されたことで知られており、スタンフレックス・シリーズSF-3000と呼ばれる設計を採用している。スタンフレックス・モジュール用のスロットは、前甲板に1つ、中部甲板に2つ設けられている。通常、兵装モジュールとしては前甲板のスロットに搭載するオート・メラーラ製スーパー・ラピッドM/85 76mm単装速射砲を搭載した艦砲モジュールのみを搭載しているが、必要に応じて中部甲板のスロットにも兵装モジュールを搭載することができ、これによって本級はフリゲートとして遜色ないレベルの兵装を行なうことができる。デンマーク海軍は、スタンフレックスの兵装モジュールとして、ハープーン艦対艦ミサイルやシースパロー個艦防空ミサイル(Mk.48 mod.3 VLS)などを保有している[4][3]。
同型艦一覧
# | 艦名 | 進水 | 就役 | 退役 |
---|---|---|---|---|
F357 | セティス[2] HDMS Thetis |
1989年7月14日 | 1991年7月1日 | |
F358 | トリトン[2] HDMS Triton |
1990年3月16日 | 1991年12月2日 | |
F359 | ヴァエデレン[2] HDMS Vædderen |
1990年12月21日 | 1992年6月9日 | |
F360 | ヴィビューネン[2] HDMS Hvidbjørnen |
1991年10月11日 | 1992年11月30日 |
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グリーンランド沿岸を航行するトリトン
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TSM-2640可変深度ソナーの繰出口
脚注
注釈
- ^ a b アメリカ海軍協会の"Combat Fleets of the World"では哨戒艦として扱っている[3]。
出典
- ^ a b c d e f g Saunders 2015, p. 198.
- ^ a b c d e f 井上 2021, p. 115.
- ^ a b c d Wertheim 2013, p. 155.
- ^ a b John Pike (2011年7月11日). “Thetis / Stanflex 3000” (英語). 2011年10月16日閲覧。
- ^ a b Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629
参考文献
- 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、21-175頁、2021年4月。 NAID 40022516372。
- Saunders, Stephen (2015), Jane's Fighting Ships 2015-2016, Janes Information Group, ISBN 978-0710631435
- Wertheim, Eric (2013), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591149545
関連項目
- セティス級フリゲートのページへのリンク