セットバックと都市計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/10/11 21:15 UTC 版)
「セットバック (建築)」の記事における「セットバックと都市計画」の解説
今日では多くの州や自治体が、土地利用規制などの都市計画法規で、建物におけるセットバックの利用を義務付けている。これは、都市の街路や中庭に日光や空気が十分に供給され、空間が十分に確保されるようするためである。たとえばニューヨーク市のマンハッタンのような高密集地区では、街路に直面する外壁の高さの上限が定められ、この高さを超える部分については、仰空面(sky exposure plane)と呼ばれる理論上の傾斜面よりも外壁を後退させなければならないことが定められていることがある。同様の理由で、密集度の低い地区でも、外周壁の高さ規制に適合させるためにセットバックが使用される場合がある。 セットバックは、有用な外部空間を生み出すことによって、建物内部の価値を高めるためにも使われる。新鮮な空気を吸うことができ、地平線までの展望が得られ、ガーデニングや屋外での食事などのレクリエーションも楽しめるテラスを、セットバックによって確保することは多い。さらにセットバックには、ビル同士の空間を広げ、突き出た部分同士を遠ざけることにより、消防隊がビルの間を通行しやすくすることで火災発生時の安全性を高める効果もある。 米国では、自治体ごとにセットバックに関する法規が異なる。たとえば、シカゴ市の土地利用規制には仰空面(sky exposure plane)に関する条項がないため、シカゴ市のスカイラインは、高層ビルの多くが1916年区画整備決議に準拠して建設されたニューヨーク市のスカイラインとは、大きく異なっている。ニューヨーク市の土地利用規制には、地上の高さでのセットバックに関するガイドラインもある。このタイプのセットバックは、各ビルの前にしばしば広場(plaza)と呼ばれるオープンスペースを確保することにより、公共空間を増やすことを目的としている。
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