セットアップ能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 02:25 UTC 版)
「アラン・プロスト」の記事における「セットアップ能力」の解説
1986年のチームメイト、ケケ・ロズベルグの解説によれば、傍目にはスムーズに見えるプロストのコーナリングは、ブレーキをかけないまま曲がっていき、曲がりながらロック寸前までブレーキをかけ一気に転回し、そこから全開で加速する独特なもので、ロズベルグも真似したがどうしても出来なかったという。ロズベルグは付け加えて「記憶力と分析能力という重要な2つが特に備わっていた。どこをどうセッティングしたらこういうタイムになる、ということをすべて記憶していて実践できる。これはものすごい能力だった」と証言している。 ロズベルグの次にチームメイトとなったステファン・ヨハンソンも似た証言をしており、「マシンをセッティングしていくとき、プロストには独自の理論と知性があった。それがラウダと組んだとき覚えたことなのか判らないけど、エンジニアは彼の言っていることを聞いてその通りにするだけでいいんだ、すべて彼の言ったとおりの結果になるんだから。その記憶力はそばで見ていてショックを受けたし、彼の仕事を見て学ぶことが多かった。僕のあとマクラーレンに加入したセナも同じようにアランから学んだだろうと確信している」と話す。 1987年にヨーロッパラウンドを終えた中嶋悟が今宮純による取材を受けた際、F1に来て印象に残ったことを問われ、「僕たち日本人ドライバーは富士や鈴鹿をたくさん走り込んで自分の(セッティングの)形ってのを作るでしょ。プロストって、どこに行ってもすぐにその形ができちゃうわけ。一体どうなってるんだろうね?」と他チームながら驚いたと語っている。 プロストは「チームメイト用のセットアップでそのまま走れたのはラウダとセナだけ」と発言しており、マシンの持つ最大性能を引き出すセッティングは3人とも同じ方向であった。最後のチームメイトとなったデイモン・ヒルは、同じセッティングで走っていたプロストのハンドル操作が極めて少ないことをテレメトリーデータから知り、プロストの走法を学ぶようになった。
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