スルフィドとチオフェン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 09:06 UTC 版)
「有機硫黄化合物」の記事における「スルフィドとチオフェン」の解説
スルフィドにおける炭素−硫黄結合は炭素−炭素結合に比べ長く、また弱い。硫黄化合物における S−C 結合の例を挙げると、メタンチオールでは 183 pm、チオフェンでは 173 pm である。メタンにおける C−H 結合の解離エネルギーは 100 kcal/mol であるのに対してチオメタンのそれは 89 kcal/mol であり、水素原子をメチル基で置き換えると 73 kcal/mol にまで減少する。 炭素−酸素単結合は C−C 結合に比べて短い。ジメチルスルフィドとジメチルエーテルの結合解離エネルギーはそれぞれ 73 および 77 kcal/mol である。 チオエーテルはプメラー転位によって合成することができる。 チオフェンの共鳴安定化エネルギーは 29 kcal/mol で、酸素類縁体であるフランの 20 kcal/mol に比べいくぶん大きい。この差は、酸素原子は電気陰性度が高いため電子を引き寄せ、環電流を減少させてしまうために起こる。芳香族置換反応において、チオ基はアルコキシ基よりも活性化基としての効果は低い。 硫黄−炭素間の二重結合を持つ化合物は硫黄イリドと呼ばれ、コーリー・チャイコフスキー反応などに用いられる。
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