スルフランとペルスルフラン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 09:06 UTC 版)
「有機硫黄化合物」の記事における「スルフランとペルスルフラン」の解説
スルフラン(sulfurane, IUPAC名 λ4-スルファン (sulfane))とペルスルフラン(persulfurane, IUPAC名 λ6-スルファン)は超原子価化合物であり、それぞれ4価 (SR4)、6価 (SR6) の原子価を持つ。硫黄原子上の置換基が全て炭素であるようなペルスルフランは、より重いカルコゲン類縁体のもの、例えばヘキサメチルペルテルラン (Te(CH3)6) については知られており、これはテトラメチルテルルと二フッ化キセノンの反応で得られる Te(CH3)2F2 をジエチル亜鉛で処理することにより合成されている。一方、硫黄類縁体のヘキサメチルペルスルフラン S(CH3)6 は安定であると予測されているものの、いまだその合成はなされていない。 実験室で最初に合成された炭素置換基のみを持つペルスルフランは、2つのメチル基と2つのビフェニル配位子を有するものである。 合成はスルフラン 1 から始まり、まず二フッ化キセノンと三フッ化ホウ素をアセトニトリル中で作用させてスルフラニルジカチオン 2 としたのち、テトラヒドロフラン中でメチルリチウムを反応させることで、3 を cis 異性体として得る。X線結晶構造解析により、3 は硫黄原子を中心とした歪んだ八面体型構造で、C−S 結合長は 189 から 193 pmであることがわかっている(これは通常よりも長い)。 計算によってそれらの結合は非常に極性が高く、炭素原子上に負電荷が偏っていることが示されている。
※この「スルフランとペルスルフラン」の解説は、「有機硫黄化合物」の解説の一部です。
「スルフランとペルスルフラン」を含む「有機硫黄化合物」の記事については、「有機硫黄化合物」の概要を参照ください。
- スルフランとペルスルフランのページへのリンク