スムース・フォックス・テリアとは? わかりやすく解説

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スムース・フォックス・テリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/05 08:29 UTC 版)

スムース・フォックス・テリア
原産地  イングランド
特徴
寿命 12-15 年、最大19年
イヌ (Canis lupus familiaris)

スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier)は、イギリス原産のテリア犬種の一種である。

フォックス・テリアタイプ犬種のひとつであり、そのグループ名の元となった犬種でもある。別名はスムースヘアード・フォックス・テリア(Smooth-haired Fox Terrier)。スムース・フォクス・テリアスムース・フォクステリアなどと表記されることもある。

歴史

キツネ狩りが盛んになった17世紀ごろに誕生したワーキング・テリアである。もともとは能力を重視したブリーディングが行われていたため姿にバラつきがあったが、近代に入ってショードッグとしても使われるようになってからは姿が固定された。

しかし、姿が固定されるきっかけとなったのはドッグショーに使うためではなく、狩猟中の事故の多発を受けてのものであった。もともとフォックス・テリアは毛色が赤狐色であったため獲物のアガギツネと非常に紛らわしく、地中からキツネの匂いをつけて戻ってきたときにパートナーのハウンド犬に間違って攻撃されたり、主人にキツネと間違えられて誤射殺されてしまうという事故が相次いで起こっていた。そこで毛色のメインカラーを赤狐色からホワイトに改良することで見分けがつけやすくなり、視界の悪い場所でも見間違うことはなくなった。

その改良の後にショードッグとして使われるようになり、狩猟能力をなるべく損なわないように容姿を整えるためにマンチェスター・テリアブルテリアイングリッシュ・グレイハウンドビーグルの血を加えて現在の姿になった。

スムース・フォックス・テリア(1915年)

もとはワイアーヘアード・フォックス・テリアと同一犬種として見られていて、異種交配も行われていたが、ドッグショーに出るようになってからはこれらを区別するようになった。1900年代にワイア種とスムース種の異種交配が禁止され、1985年に独立・犬種としての公認登録が行われた。

尚、近年は姿を重視したブリーディングが行われていたため、狩猟能力が著しく低下していることが危惧されていた。その話は事実であったが、愛好家の手により改善が行われ、実猟犬として使われている本種の血を加えることで少しずつかつての能力を取り戻しつつある。

主にイングリッシュ・フォックスハウンドとコンビを組み、その名のとおりキツネ狩りをするのに使われていた。嗅覚でキツネを捜索し、発見すると追いかけ、獲物が穴に隠れてもそこへ潜り込んで戦い、地上へおびき出すのが本種の仕事である。地上に獲物がおびき出されたり、本種が穴から引きずり出した後はパートナーであるイングリッシュ・フォックスハウンドにキツネを仕留めてもらう。

実猟犬としてはイギリスだけでなく多くの国で飼育されていて、日本でも外来種であるヌートリアの駆除をするために導入することが検討されている。ペット・ショードッグとしてはワイア種のほうが圧倒的な人気があり、ペットなどとしてはあまり飼育されていない。これは現在も大半が実用犬として飼育されていて、ワイア種よりも猟犬としての気質がよく残っていることなどが関係していると考えられている。日本でも飼育は行われているが、海外からの輸入犬が大半で国内ではほとんど繁殖されていない。

特徴

スムース・フォックス・テリアのイラスト

脚がやや長めのテリアで、筋肉質で引き締まった体つきをしている。頭部の形は楔形で、マズルが長めである。マズルが細く長めなのはイングリッシュ・グレイハウンドの影響によるものである。胴は長めだが、脚が長いためさほど目立ってはいない。背中は平らである。耳はボタン耳、尾は垂れ尾。尾は半分から4分の1の長さに断尾されることがある。コートは硬めのスムースコートで、毛色はホワイトをベースとしてタン、ブラックのマーキングが入ったハウンドカラー。もとがワーキング・テリアであるため、狩猟本能が高く運動能力も抜群である。性格は知的で主人家族に対しては従順で愛情深いが、いわゆる「テリア・キャラクター」というテリア犬種特有の気性も持ち合わせ、気性が荒く頑固で、猟犬種であるため攻撃的な一面もある。気性の荒さと運動量の多さからあまりペットには向いていない犬種だが、猟師やテリア犬種の愛好家などにはその限りではなく、スポーツドッグとしてアジリティなどに使われることも多い。体高39cm前後、体重7〜8kgの中型犬である。かかりやすい病気には関節疾患などが挙げられる。尚、ごく稀に毛色が真っ白で、目の青い仔犬が生まれることがあるが、この犬は聴覚視覚に高い確率で先天性の異常があるためその犬の飼育には十分注意が必要である。

参考文献

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目

脚注


スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier )

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/04 01:51 UTC 版)

フォックス・テリア」の記事における「スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier )」の解説

イングランド原産。この犬種群の由来となった犬種である。現地などでは現在もワーキング・テリアとしてキツネ狩り用いられている。原産地外の国ではペットとして地味ながら根強い人気があるが、日本ではワイア・フォックス・テリアジャック・ラッセル・テリア人気陰に隠れてあまり年間登録頭数多くなく、未登録の年度も少なくない

※この「スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier )」の解説は、「フォックス・テリア」の解説の一部です。
「スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier )」を含む「フォックス・テリア」の記事については、「フォックス・テリア」の概要を参照ください。

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