スキルミオンとは? わかりやすく解説

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スキルミオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 03:12 UTC 版)

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物性物理学において、スキルミオン[1]: skyrmion [ˈskɜːrmi.ɒn]スカーミオン[2]とも)とは、連続場に生じる位相幾何学的に特徴のあるのモデルをいう。この渦はそれぞれが粒子のように振る舞うため、有限な質量を持つ準粒子とみることができる[3]。1962年、トニー・スカームによりバリオンの量子重ね合わせと共鳴状態を説明するために考案された[注 1][4]原子核物性からも予言された[5]。このモデルは高等数学的で、数学的な要請により明示的に非線形である。元々は高エネルギー物理に端を発するが、現在では固体物理において応用され、情報技術分野から興味を集めている。ボース=アインシュタイン凝縮[6]超伝導体[7]、磁性薄膜[8]、カイラルネマティック液晶[9]中のスキルミオンが報告されている。

概要

スキルミオンモデルはフェルミオン核子)を、ボソン場から生じる特殊なソリトンとしてモデル化する(強い相互作用中間子の交換で説明する非線形古典場)[10][11][12][13]。1980年代初頭、エドワード・ウィッテンの仕事と、有名なバッグ模型ケネス・A・ジョンソンの項目も参照)とは独立に提唱され、量子ホール効果と関連づけて議論された。現在では、表面・界面磁性系におけるスキルミオンも発見されている[14][15]

固体物理学、特に発展著しいスピントロニクス技術の分野で、磁気スキルミオンと呼ばれる位相幾何学的に非自明スピン配置が注目されている。二次元磁気スキルミオンは、たとえば三次元スピン「ハリネズミ (hedgehog)」[注 2]ステレオ投影すると得られるようなスピン配置である。すなわち、円の周縁領域では上向きの北極スピンを、円の中心点では下向きの南極スピンをもつような分布になる[16]

磁気スキルミオンは、カイラル磁性体磁場下に置いた時に、電子スピン数千個程度の大きさのものが生じることが知られている。微小なにより固体中を自由に動かすことができ、ジュール熱をほとんど出さずに制御できる可能性が示されたため、低消費電力高密度実装を実現する不揮発性メモリとしての応用が期待されている[17][18]

数学的定義

場の理論では、スキルミオンは非自明な対象多様体トポロジーの非線形シグマモデルに対する、ホモトピー的に非自明な古典解である。したがって、スキルミオンは位相的ソリトンである。例として、中間子カイラル模型英語版[注 3]が挙げられる。この場合、対象多様体は次の構造群等質空間である。



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