シダ類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/05 02:28 UTC 版)
この仲間で異質なのがサンショウモやデンジソウなどで、これらは大胞子のうと小胞子のうを作る。ただしそれらには外見上の差はなく、また、それが作られる葉にも形態的な差はない。 もう一つ、ハナヤスリ、ハナワラビ、コブランなどのハナヤスリ科は、それぞれに形態は異なるが、胞子葉と栄養葉の関係については一致しており、いずれも地下茎から伸びた葉が栄養葉となり、その上に生じた枝が胞子葉となっている。胞子葉は軸に胞子のうが並んだ状態で、葉身がない。 それ以外にシダ類は、多くが胞子葉と栄養葉の差がなく、よく成長すればすべての葉の裏面に胞子のうを胞子のう群の形で生じる。これを栄養胞子葉という。 その中で、胞子葉が分化するものはさまざまな分類群に少しずつ見られる。一つの科や属のほとんどで胞子葉が分化する(キジノオシダ科、コウヤワラビ属など)ものもあれば、同じ属内でも胞子葉が分化するものとしないものがある場合もある(カナワラビ属など)。多くの場合、栄養葉は幅広く、胞子葉は似た姿ながら細長くて栄養葉よりも高く伸び上がる。胞子葉が栄養葉よりやや細くて背が高い程度のものもあれば(マメヅタなど)、緑色をした葉身をわずかにもっているもの(ホソバカナワラビ)、さらにはほぼ完全に葉身を失い、軸に胞子のう群が並んでいるだけに見えるもの(ゼンマイなど)もある。両者が全く異なる姿のものもある。ビカクシダでは、栄養葉は根元を覆うように丸く広がり、胞子葉は細長く垂れ下がる。 胞子葉が分化しないものでも、一枚の葉の中で、胞子形成をする小葉が分化しているものがある。例えばクマワラビは羽状複葉する葉の先端部分の小葉数枚が一回り小さく、ここにだけ胞子のうをつける。胞子が散布された後、この部分だけが枯れ落ちるため、古い葉では常に先端部が欠けている。また、カニクサは葉が長いつるになり、それに沿って多数の小葉をつけるが、胞子をつけない葉は三角の小葉であるのに対して、胞子をつける部分は丸い小葉となる。
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