ザ・ボーイ・フロム・オズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/29 16:06 UTC 版)
ザ・ボーイ・フロム・オズ | |
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作曲 | ピーター・アレン |
作詞 | ピーター・アレン |
脚本 | ニック・エンライト(オーストラリア公演版) マーティン・シャーマン(ブロードウェイ) |
原作 | ステファン・マクリーン 『The Boy from Oz』 |
上演 | 1998 シドニー 2003 ブロードウェイ 2006 オーストラリア・アリーナツアー 2013 ペルー・リマ 2018 メルボルン 2021 パース |
『ザ・ボーイ・フロム・オズ』(The Boy from Oz)は、歌手・作曲家のピーター・アレンの人生を元に、アレンの楽曲を用いたオーストラリアのジュークボックス・ミュージカル。1996年に出版されたステファン・マクリーンによるアレンの伝記本を原案に、ニック・エンライトによって脚本が執筆された。1998年にトッド・マッケニーを主演にオーストラリアで初演され、2003年にはマーティン・シャーマンによって脚色されたブロードウェイ・ミュージカルがヒュー・ジャックマン主演で上演された。
公演歴
脚本
ステファン・マクリーンはアレンに心酔し、世界中のアレンのキャリアについて回り、数多くのインタビューをし、アレンのオーストラリアでのソロキャバレーデビューを撮影した。1992年のアレンの死後、マクリーンはアレンの伝記本の執筆を始め、『Peter Allen: The Boy from Oz』のタイトルで1996年に出版した[1][2][3]。
伝記本の執筆中、マクリーンは1970年代初頭のアレンの仕事を知っていたプロデューサーのベン・ギャノンにアレンの伝記映画の制作を提案する。しかしギャノンはドキュメンタリーの制作が先だと考え、マクリーンの脚本・監督による『ザ・ボーイ・フロム・オズ』をプロデュースした。本作は1995年にオーストラリアのABCテレビジョンで放送された[1]。
1996年に伝記本が出版された後、ギャノンとロバート・フォックスはこの本をミュージカルの原案にすることを決める。脚本はニック・エンライトが執筆し、マクリーンはミュージカル・ワークショップのコンサルタントを務めた[1]。
オリジナル・オーストラリア公演
オリジナル版は1998年3月5日にシドニーのハー・マジェスティーズ・シアターにてトッド・マッケニー主演で初演された。ブリズベン、メルボルン、アデレード、パースでも公演を行い、120万人以上の観客を動員し、2年間で766回上演された[4][5]。
ブロードウェイ
主演はヒュー・ジャックマン。2003年9月16日にインペリアル・シアターにてプレビュー公演が行われ、同年10月16日に開幕した。ジャックマンの契約満了に伴い2004年9月12日に閉幕し、32回のプレビュー公演と365回の本公演が行われた。本公演では脚本家のマーティン・シャーマンによってオーストラリアの方言の一部をアメリカの観客向けに脚色し、アメリカ人のキャラクターであるガーランド、ミネリの役割が拡大された。 演出はフィリップ・ウィリアム・マッキンリー、振付はジョーイ・マックニーリーが担当した。2004年のトニー賞ではジャックマンがミュージカル主演男優賞を受賞した他、本公演も最優秀ミュージカル賞を含む4つの部門にノミネートした[6]。
オーストラリア・アリーナツアー
2006年8月3日から9月10日の期間、観客1万人以上のアリーナステージ用に特別にデザインされた新プロダクション『ボーイ・フロム・オズ アリーナ・スペクタキュラー』としてオーストラリア・ツアーを行った。ジャックマンがアレン役として再演し、アメリカの振付師のケニー・オルテガが演出を担当した[7][8]。ツアーには40人のシンガー兼ダンサーと、25人編成のオーケストラがサポートキャストとして参加した[9]。
また、シドニー、メルボルン、アデレード、ブリスベンではオーストラリア少女合唱団の100人の少女たちの歌声が披露された[8]。
メルボルンでのリバイバル公演
2010年、マッケニーが公演のクライマックスでアレンの映像がステージにプロジェクションされるThe Production Companyのバージョンで主演を再演した。2018年には20周年記念を祝し、The Production Companyはアボリジニやレインボーフラッグなどの当時にそぐわない要素を施した新たな公演を上演した。ローハン・ブラウンがアレン役、キャロライン・オコナーがガーランド役、ローレン・ハンターがミネリ役、マックスウェル・シモンがグレッグ役を演じた。
パース公演
2021年、Platinum Entertainmentが当時世界で数少ない大規模公演を上演する会場の一つであるクラウン・シアターで上演した。演出と振付はドリュー・アンソニーが、音楽演出はジョー・ルイス・ロビンソンが務め、アレン役でデビューのイーサン・ジョーンズと共に、ルーシー・ウィリアムソンがガーランド役、エレスィア・スタトレリがミネリ役、ピーター・カミンズがグレッグ役で上演された。「I Still Call Australia Home」の冒頭ではジョーンズとアレンが国への感謝の念を表した。この公演ではステージ全体に映像と音響が一体化したLEDスクリーンが設置されており、ジョーンズから「Once Before I Go」を歌う晩年のアレンへのトランジションで幕を閉じた。
ペルー公演
ペルーでは2013年5月に初演され、マルコ・ズニーノがアレン役を演じ[10]、エリカ・ヴィラロボスがライザ役、エレーナ・ロメロがガーランド役で出演した。最初のスペイン語版となった[11]。
日本版公演
2005年に初演され、20th Centuryの坂本昌行がアレンを演じた。その後、同じキャスト、カンパニーで2006年・2008年にも再演された。2020年には3度目の再演が決定し、48歳の年であったアレン役の坂本は「ピーター・アレンが亡くなられた年齢と同じ年齢で今回演じることができるのは、何かの運命のように感じています」[12]と語るも、新型コロナウイルスの影響で全公演中止になり、2022年に改めて上演された[13]。
公演日程
- 2005年版
- 2005年6月10日 - 6月27日 (東京・青山劇場)
- 2006年版
- 2006年10月28日 - 11月6日 (東京・青山劇場)
- 2006年11月23日 - 11月26日 (大阪・大阪厚生年金会館(現・オリックス劇場)芸術ホール)
- 2008年版
- 2008年10月5日 - 10月14日 (東京・青山劇場)
- 2008年10月23日 - 10月26日 (大阪・シアターBRAVA!)
- 2022年版
- 2022年6月18日 - 7月3日 (東京・東急シアターオーブ)
- 2022年7月14日 - 7月16日 (大阪・オリックス劇場)
主な配役
- 2005年・2006年・2008年版キャスト
- ピーター・アレン(ピーター・ウールノー) - 坂本昌行(V6 / 20th Century)
- グレッグ・コンネル - IZAM
- ライザ・ミネリ - 紫吹淳
- ジュディ・ガーランド - 鳳蘭
- マリオン・ウールノー - 今陽子
- ディー・アンソニー / ディック・ウールノー - 団時朗
- クリス・ベル - 松原剛志
- 2022年版キャスト
- ピーター・アレン(ピーター・ウールノー) - 坂本昌行(20th Century)
- グレッグ・コンネル - 末澤誠也(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)[14]
- ライザ・ミネリ - 紫吹淳
- ジュディ・ガーランド - 鳳蘭
- マリオン・ウールノー - 今陽子
- ディー・アンソニー / ディック・ウールノー - 宮川浩
- クリス・ベル - 松原剛志
ミュージカルナンバー
- 特記無き限りアレンによる作曲
- オリジナル版
第一幕
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- ブロードウェイ版
第一幕
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第二幕
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- 作曲
- 出典
- ^ a b c d e f 『Not the Boy Next Door』収録曲
- ^ a b c d e f g h 『I Could Have Been a Sailor』収録曲
- ^ a b c d e f g h i j k l ミュージカル『レッグス・ダイアモンド』の楽曲
- ^ a b c d e f 『Bi-Coastal』収録曲
- ^ a b c d e f g 『Taught by Experts』収録曲
- ^ a b c d e f 『Continental American』収録曲
- ^ a b 映画『Arthur』の主題歌
- ^ a b 『Making Every Moment Count』収録曲
- ^ 『Tenterfield Saddler』収録曲
- ^ ソロデビューアルバム『Peter Allen』収録
- ^ ライブアルバム『It Is Time for Peter Allen』収録
受賞・ノミネート
オリジナル・オーストラリア公演
年 | 賞 | 部門 | ノミネート | 結果 |
---|---|---|---|---|
2001 | ヘルプマン賞 | ミュージカル作品賞 | 受賞 | |
新作オーストラリア作品賞 | ニック・エンライト | ノミネート | ||
監督賞ミュージカル部門 | ゲイル・エドワーズ | 受賞 | ||
振付賞ミュージカル部門 | アンソニー・ヴァン・ラースト | ノミネート | ||
男優賞ミュージカル部門 | トッド・マッケニー | 受賞 | ||
女優賞ミュージカル部門 | クリッシー・アンフレット | ノミネート | ||
ミュージカル演出賞 | マックス・ランバート | 受賞 | ||
サウンド・デザイン賞 | ウィン・ミルソム | ノミネート |
オリジナルのオーストラリア公演は1999年にメルボルンのグリーン・ルーム賞においてもミュージカル劇場運営による貢献を含む6部門受賞した[15]。また、同賞の新作オーストラリア劇部門にもノミネートした[16]。
オリジナル・ブロードウェイ公演
年 | 賞 | 部門 | ノミネート | 結果 |
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2004 | トニー賞 | ミュージカル作品賞 | ノミネート | |
脚本賞ミュージカル部門 | マーティン・シャーマン、ニック・エンライト | ノミネート | ||
主演男優賞ミュージカル部門 | ヒュー・ジャックマン | 受賞 | ||
助演女優賞ミュージカル部門 | ベス・ファウラー | ノミネート | ||
イザベル・キーティング | ノミネート | |||
ドラマ・デスク・アワード | 主演男優賞ミュージカル部門 | ヒュー・ジャックマン | 受賞 | |
助演男優賞ミュージカル部門 | ミッチェル・デイビット・フェデラン | ノミネート | ||
助演女優賞ミュージカル部門 | イザベル・キーティング | 受賞 | ||
シアター・ワールド賞 | ミッチェル・デイビット・フェデラン | 受賞 | ||
ヒュー・ジャックマン | 受賞 | |||
イザベル・キーティング | 受賞 |
脚注
- ^ a b c (Script of the musical.) The Boy from Oz. Music and lyrics by Peter Allen & others; Book by Nick Enright; Original production by Ben Gannon and Robert Fox; Original direction by Gale Edwards.. DSPress. (2006)
- ^ 別名『The Boy from Oz: The Peter Allen Story』。
- ^ “Stephen MacLean”. AustLit (2010年9月3日). 2022年1月19日閲覧。
- ^ Boy From Oz Opens Mar. 5 in Sydney Playbill, March 5, 1998
- ^ "Peter Allen Musical Bio, The Boy From Oz, Bows March 5 in Sydney" Playbill, January 27, 1998
- ^ “The Boy from Oz”. Internet Broadway Database. 2017年11月13日閲覧。
- ^ “The Boy From Oz”. Australian Broadcasting Corporation (2006年9月4日). 2008年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月13日閲覧。
- ^ a b Rooney, David (August 6, 2006). “Abroad: The Boy from Oz”. Variety. オリジナルのDecember 1, 2009時点におけるアーカイブ。 2017年11月13日閲覧。.
- ^ Hernandez, Ernio (February 13, 2006). “Hugh Jackman The Boy From Oz Tour Gets New Director, Cast and Dates for Oz Return”. Playbill. オリジナルのJune 26, 2006時点におけるアーカイブ。 2017年11月13日閲覧。.
- ^ “Musical de Broadway "The Boy From Oz" será adaptado en Lima”. El Comercio. (2011年12月17日) 2017年11月13日閲覧。
- ^ “Marco Zunino recibe consejos de actor Hugh Jackman”. entretenimiento.terra.com.pe. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。[リンク切れ]
- ^ “坂本昌行が12年ぶりにピーター・アレン演じる、ミュージカル「THE BOY FROM OZ」”. ステージナタリー (2020年1月24日). 2020年1月24日閲覧。
- ^ “坂本昌行主演、ミュージカル「THE BOY FROM OZ」2年越しの上演決定”. ステージナタリー (2022年2月27日). 2022年2月27日閲覧。
- ^ 2020年版の発表時は寺西拓人(ジャニーズJr.)。
- ^ “1999 Music Theatre”. Green Room Awards. 2003年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月20日閲覧。
- ^ “1999 Drama”. Green Room Awards. 2003年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月20日閲覧。
外部リンク
- THE BOY FROM OZ - 2020年版公式ホームページArchived 2020年5月29日, at the Wayback Machine.
- THE BOY FROM OZ - 2022年版公式ホームページアーカイブ 2022年2月27日 - ウェイバックマシン
ザ・ボーイ・フロム・オズ
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「ピーター・アレン」の記事における「ザ・ボーイ・フロム・オズ」の解説
詳細は「ザ・ボーイ・フロム・オズ」を参照 1998年、アレンの生涯を描いたミュージカル『ザ・ボーイ・フロム・オズ』がオーストラリアで上演される。2004年にはブロードウェイで上演され、同じくオーストラリア出身でピーター役を演じたヒュー・ジャックマンは、本作品でトニー賞主演男優賞(ミュージカル部門)を受賞している。 2005年、同上のミュージカル「ザ・ボーイ・フロム・オズ(THE BOY FROM OZ)」が日本で上演され、V6の坂本昌行がピーター役を演じた。 その後、日本で同じキャスト、カンパニーにて、2006年に再演、2008年に再再演された。 2020年に日本で3度目の再演が決定。この年、ピーター役の坂本は48歳の年であり、「ピーター・アレンが亡くなられた年齢と同じ年齢で今回演じることができるのは、何かの運命のように感じています」と語っている。
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