サイード方言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 14:30 UTC 版)
サイード方言(Sahidic, かつてはテーベ方言 (Thebaic) と呼ばれていた)は、コプト語の文献に用いられている方言で最も有名なもので、イスラーム期以前には最も勢力のある方言であった。もともとはヘルモポリス(Hermopolis, コプト語 Ϣⲙⲟⲩⲛⲉⲓⲛ Shmounein)周辺の話し言葉であった。紀元300年頃に聖書の翻訳などがこの方言で書かれ、6世紀までには語の綴りが標準化されて全エジプト中で使用されるに至った。コプト語を母語とする著述家のほとんど全てが、この方言で記述した。9世紀初めになるとボハイラ方言の勢力が強まり、14世紀にはサイード方言の勢力を凌ぐようになった。 他の方言の主な文献はギリシアの文学、宗教文書の翻訳が大半を占めるのに対し、サイード方言は唯一、エジプト独自の文学や、文学以外の文献が残されている方言である。これはサイード方言の特徴が、他の方言の特徴と共通する部分が多く、この方言に独特な部分が少ないこと、また、広範囲に亘る文献を有すること、そしてコプト人以外の研究者がコプト語を学習する際に学ばれる方言であることに起因する。
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