コウジカビ属の種によるカビ毒産生の有無
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 17:15 UTC 版)
「コウジカビ」の記事における「コウジカビ属の種によるカビ毒産生の有無」の解説
コウジカビ一部の菌株は麹として味噌や醤油、日本酒などの発酵食品の醸造に伝統的に用いられてきたが、ヒトに感染して病気を起こすものや、数種類のカビ毒を産生するものがあり、食品衛生だけでなく医学上も重要視されているカビである。食品衛生に於いて産生されるカビ毒で問題とされるのは、アフラトキシンとシクロピアゾン酸(CPA)である。アフラトキシンは熱帯から亜熱帯地域にかけて広く分布するアスペルギルス・フラバス (Aspergillus flavus)や(A. section Flavi)などのカビが原因となる。イギリスでは1960年にA. flavusが産生するアフラトキシンによる飼料汚染が「七面鳥X病」として問題になった。ただし、アフラトキシン産生過程の研究でA. flavusのすべての菌株がこのカビ毒を産生できるわけではないことが判明している。また麹菌のA. oryzae(ニホンコウジカビ)やA. sojae(ショウユコウジカビ)でもアフラトキシン生成が疑われたが、研究によりアフラトキシンを産生する能力は失われている事が確認されている。しかし、アフラトキシンを産生しない菌株でもシクロピアゾン酸を産生する菌株があると報告されている。従って、A. oryzae であっても、発酵食品製造においてはシクロピアゾン酸非生産性株を使用する必要がある。
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