クモ食いについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 07:41 UTC 版)
このクモは古くは条網を張り、それにかかる昆虫を食べるとされた。そのような簡単な網で虫が捕れるのか、という点については、非常に粘着力が強いので大丈夫、という説明がなされたこともある。しかし実際にはこれらの糸には粘着部がない。条網で昆虫を捕まえるというのは、どうやらマネキグモと混同されたらしい。実際、マネキグモは数本の糸を引いただけの網で昆虫を捕まえて生活している。 オナガグモがクモを食べていることが判明したのは1980年代のことである。クモ類は一般に移動する際にしおり糸と呼ばれる糸を引いて移動し、そのため普通は目につかないが、クモの多く暮らしている環境には多くのクモの糸が残っている。そういった中で、クモが歩くときにほかのクモの引いた糸を伝って歩くこともよくあることで、オナガグモの行動はこのことに対応した適応と見られる。 なお、クモを獲物とする習性のあるクモは他にも少なくなく、たとえばセンショウグモ科のものはすべてそうであるし、日本では他にヤマトカナエグモ、ケアシハエトリなど複数の種が知られるが、それらはたいてい網を張っているクモの網に侵入して捕獲するものであり、その意味でもこのクモの習性は独特である。また、オナガグモの獲物は徘徊性のものが多いらしい。新海によると、オナガグモの獲物になった虫の96%がクモで、11科24種に及ぶものが含まれていた。そのうち徘徊性のものが種数で約半数、個体数では7割を占めた。なお、残り4%は小昆虫であった。 系統的には近縁なイソウロウグモ類がほかのクモの網に寄食し、片隅で網の主が気にしないような小さな虫を捕らえている、というのが名前の由来であるが、実際には網の主を食い殺す例が知られており、またヤリグモはほかのクモの網を渡り歩き、餌を奪ったり網の主のクモを食ったりするのが知られている。
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